2019年12月10日火曜日

ぶっちゃけNutanixはトラブらないの?

Nutanixの製品に携わっていると、HCIを導入しようと思ったけど、価格が高いから3Tierにしたとか、HCIを導入した知っている会社さんがトラブっているのを見たので、危険すぎて3Tierにしたといった話しを耳にすることがあります。
今日は、私の個人的な目線で、HCIというかNutanixという観点で、 適用が難しい環境やトラブらないための秘訣をご紹介します。

Nutanixはどの業種にあわないの?
Nutanixは、医療、製造、公共など幅広い業種に導入実績があり正直、適用できない業種はないと言えます。Nutanixが適合できない業種と考えるよりも、仮想化に不向きな環境(例えば物理デバイスをCOMで制御するなど)は、Nutanixには向かないと考えるのが善いと思います。

Nutanixを入れたらトラブらないの?
Nutanixを導入してトラブルになったお客様というのは私は直接的に見たことはありません。ただ、トラブルになる要素はゼロではありません。その要素をお伝えします。

ポイント1
旧来の3Tierの考え方をそのままNutanixに適用する(ストレージ編)
これは、一番近い失敗の近道です。
まずNutanixのストレージはRAIDではありません。RF2という形でクラスター全体で筐体をまたいだ形でデーターがミラーになります。これを知らずにホットスペアディスクの設定が出来ないからダメとか、RAID5のような容量効率化ができないからダメとかこういった思想を元にOK/NGを判断されるケースを目にします。
なぜRF2という形を取っているかというと、Webスケールでどんどん拡張をしていくことを前提にしています。ノード数が増えてきた際にもハイパフォーマンスを維持し、高い可用性を維持するためにRF2が利用されています。Nutanixのファイルシステムはディスクが1本故障しても、他のディスク全体で、故障してデーターが1重になったデーターを即座にコピーしRF2であるデーターの2重化を即実行します。RAIDのように故障したディスクを交換するまで非冗長と言うことはありませんし、ホットスペアのディスクが固定されることもないという考えになります。
昨今NVMeなどの高速なメディアの登場により、RAIDコントローラーがボトルネックになるケースもでてきており、RAIDという考え方が過去のものになりつつあるという側面も1つ時代背景としてあるかとようにも感じます。もちろんすべての環境にRAIDが不適合というわけではありません。従来のHDDだけで構成された環境などでの1ホスト内での冗長性はRAIDで行うのが最も効率的であると思います。

ポイント2
旧来の3Tierの考え方をそのままNutanixに適用する(N+1編)
NutanixだけでなくHCI全体的な話しですが、サーバーのローカルディスクに共有ストレージとして利用されるローカルディスク(フラッシュ)が搭載されているのがHCIです。
つまりサーバーが1台故障するとその故障したサーバーに搭載したストレージの容量分がなくなることになります。すなわち、ストレージの容量をふるふるに使っている状況で、1台のサーバーが故障すると、1台分のストレージに保存されたデーターが読み込めなるため、データーの二重化が担保されなくなります。このままディスクが故障すれば、データーを失うことにもなりかねません。
Nutanixの構成においても、ストレージ容量必要な容量にあわせたサーバー台数にプラス1台サーバーを足すことで、1台故障しても大丈夫な「N+1」の構成を組むことが大切です。

ポイント3
旧来の3Tierの考え方をそのままNutanixに適用する(塩漬け編)
Nutanixは、ソフトウェア製品です。たとえば、iPhoneのiOSを定期的にバージョンアップするように、Nutanixのソフトウェアも定期的なバージョンアップが必要になります。
基本的に塩漬けにするべき物ではなく、必要に応じてアップデートすることでいつも快適な状態を提供します。
従来のストレージでのファームウェアアップデートは、コントローラーの切り替わりによる、マルチパスの切り替わりがおかしくなってトラブルになるケースなどがありましたが、Nutanixは、ソフトウェアのアップデートを無停止で行えるLCMやOne Click Upgrade機能があります。今までの大変だったからこそ嫌煙していたアップデート作業が、楽に出来るわけですから、本来はアップグレードを迅速に行う運用に変えていくのが正しい運用です。今までの3Tierの運用方法をそのまま持ち込んで塩漬けにするというのは、HCIには向いていません。


Nutanixに対して導入してトラブルが起きているというイメージがごく少数であるようですが、トラブルのは、いずれもNutanixの仕組みや特徴をきちんと理解していないことにあります。
Nutanixはユーザーフレンドリーでとても親しみやすい製品です。しかしテクノロジーの集合体である製品である以上、仕様制約やNutanixの正しい使い方がもちろんもあります。
今までの製品と同じ感覚で使ったいたらトラブルになったというのは、ただ単純に製品のことを知らずに思い込みで使っていることが問題です。

Nutanixのよさは、ハードウェアに依存しないソフトウェア製品であること、そして、旧来のアーキテクチャーに縛られない現代のストレージアーキテクチャーであることを理解することが大切です。

また、Nutanixにおいてただしい情報を入手することも大切です。
商用のNutanixと無償で提供されるCommunity Edition(CE)は、一部構造が違うため、CEの品質がNutanixの品質という理解は必ずしもただしい物ではありません。
商用版Nutanixは、厳しいハードウェアコンパチビリティにより、ただしく動作するハードウェアは、コンパチビリティに適合した物のみになります。
CEは、Nutanixの良さを手軽に体験して頂くため、Direct Path I/Oを利用した構造やIPMIを必要とする商用版のNutanixと異なり、どのような環境であっても動作するようにカスタマイズが施されて提供されています。
故に、CEでの情報すべてが商用のNutanix同じくあてはまる物ではありません。

Nutanixに対するただしい情報を入手し、Nutanixの製品コンセプトや仕組みを理解して利用すればNutanixの運用でトラブルになることはあり得ません。





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