2023年8月7日月曜日

AHVにおけるメモリーオーバーコミットの利用方法(その1)

AHV環境においては、長らく仮想マシンのメモリー割り当ては、ハードウェアからの予約となり、他の仮想マシンとのメモリーの空き容量を相互に使うメモリーオーバーコミット機能が利用できませんでした。AHV 20201105.30007 以降を備えたハイパーバイザーとAOS 6.0.2以降であれば、メモリーオーバーコミットが利用可能となります。

今回は、このメモリーオーバーコミットの紹介をします。

そもそもメモリーオーバーコミットとは、なにかをおさらいしておきましょう。

メモリーオーバーコミットは、仮想マシンに割り当てられたメモリーのうち、仮想マシンのOSレイヤー以上で利用されていないメモリーを、Balloonドライバーで回収し、ハイパーバイザーに戻すことで、本来のホストの持つ物理メモリーサイズを超えて、仮想マシンにメモリーを割り与えることです。即ち、空いている容量を他の仮想マシンに転用するだけであって、物理的に利用できるメモリー容量が増えるわけでは、ありません。また、メモリーは、1台のホスト内でメモリーのやりくりを行うので、ホストを超えてのメモリーのオーバーコミットはできません。

単純にわかりやすく考えると、月極駐車場で、100台の駐車スペースを法人契約していた場合、平日の10時から16時までは、平均80台の車が営業車として利用されており駐車スペースが空いているため、10時から16時までの間に別の利用者に貸し出すような考え方です。(オーバーブッキングビジネスの考え方)

要は、枠としては、既に押えられているが、実質使われていない空いているキャパシティーを、さらに利用するような考え方となります。


では、メモリーオーバーコミットの利用方法を具体的にご紹介します。

メモリーオーバーコミットは、仮想マシン単位で設定します。

Prism Centralで仮想マシンを作成する際、もしくは作成済みの仮想マシンに対して、Enable Memory Overcommitメニューで、メモリーオーバーコミット機能を有効化します。


Prism Centralでの有効/無効以外に、acliを利用して、メモリーオーバーコミットの有効/無効の設定が可能です。

acli vm.update 仮想マシン名 memory_overcommit=true/false


環境としては、以上で設定は終わりです。仮想マシンには、VirtIO Driverの最新版(Ver 1.2.1)を利用して、バルーンドライバーのインストールが必須となります。

Windowsの場合は、Nutanixが提供する、VirtIO Driverからインストールを行います。


Linuxの場合は、カーネルにバルーンドライバーが入っているかを確認します。

lsmod | grep baloon

で、以下のように結果が表示されれば、バルーンドライバー(カーネルモジュール)が入っています。

virtio_balloon         24576  0

もし入っていない場合は、カーネルモジュールの設定変更する必要があります。

Ballon Driverは、カーネルビルド時に利用する"make menuconfig"の「Device Drivers -> Virtio Drivers」の中にあります。


メモリーオーバーコミットの仕様も確認しておきましょう。

  • AOS6.0.2以降/AHV 20201105.30007以降でサポート
  • 最新のVirtIO Driverを仮想マシンインストールします
  • メモリーオーバーコミットの有効/無効は、仮想マシン単位で、仮想マシンがパワーオフの状態で設定します。
  • PrismCentral 2022.4以降であれば、GUIで仮想マシン単位でメモリーオーバーコミットの設定が可能です。
  • ホストを超えたメモリーオーバーコミットはできませんん。
  • GPUパススルーやvGPUを設定した仮想マシン、vNMUA設定をした仮想マシンは、メモリーオーバーコミットできません。
  • メモリーオーバーコミットを有効にした仮想マシンは、仮想マシンのメモリーホットアドは、できません。
  • ライブマイグレーションを行う場合、通常に比べ移動の速度が遅くなる可能性があります。
  • 物理メモリーの枯渇に備え、スワップファイルが内部的にNutanixManagementShareストレージコンテナ内に作成されます。
  • デフォルトで、各仮想マシンは、割り当て容量の25%が物理メモリーに割り当てが保証(予約)されます。残りの75%は、他の仮想マシンのメモリーオーバーコミット領域として利用されることがあります。(すなわち、4倍までオーバーコミット可能)


仮想マシン側も準備ができれば、あとは、動きを見てみましょう。

メモリーオーバーコミットは、ホストを超えてメモリーをオーバーコミットすることができませんので、今回は、わかりやすいように1台のNutanixホストで試してみたいと思います。

物理搭載メモリー192GBから、CVMが消費するメモリー32GBとハイパーバイザーが利用するメモリーが4GB程度ありますから、実際には、160GB程度しか仮想マシンは利用できないと思います。

この環境で、メモリーを160GB割り当てた仮想マシンを作成します。

この場合、160GBのメモリーをこの仮想マシン専用に確保することができないため、仮想マシンを起動することができません。


しかし、メモリーオーバーコミット機能をONにすると仮想マシンを起動することができます。実際に利用されているメモリー容量は、この場合、160GBのメモリー割り当てに対して、20.67%しか利用していないことがわかります。メモリーオーバーコミットが有効化された仮想マシンは、割り当てられたメモリーサイズの75%がメモリーのオーバーコミットとして他の仮想マシンで起動する際に利用される領域となります。


しかし、CVMは、オーバーコミットができないはずですが、なぜかハイパーバイザーの容量を考えても物理メモリーとして利用できる範囲を超えていると思われます。

では、物理メモリーを超えた容量を割り当てた場合はどうなるのでしょうか?最初に256GBで割り当てたところ、仮想マシンは起動しませんでした。200GBでも起動しませんでしたが、199GBにすると仮想マシンは起動します。はっきりした仕様がわかりませんが、おそらく物理メモリー容量に、8GB未満までであれば仮想マシンに物理容量を超えるメモリーサイズが利用できる可能性があります。


ここからさらに、28GBのメモリーを割り当てた仮想マシンを起動すると、きちんと起動します。最大4倍までがオーバーコミットできるので、トータルで物理メモリー容量を超えた形で仮想マシンを起動することができます。

次回は、より詳細にメモリーオーバーコミットの動きを見ていきたいと思います。




2023年7月26日水曜日

NDBで対応するデータベースと必要な用語について

NDBでデータベースを管理する前に、どのようデータベースやどのような構成のデータベースに対応出来るのかや、NDBで出てくる用語についておさえておきましょう。


プロビジョニングと登録

まず、NDBには、既存のデータベースを登録してNDBで管理する方法と、NDBからデータベースサーバーを展開・管理するという2つの方法があります。それぞれのデータベースによって、登録できるデータベースサーバーの種類、新規展開時のデータベースサーバーの対応している種類に違いがあります。この違いを認識しておく必要があります。こちらは、NDBのバージョンによって対応出来るデータベースの種類や構成によって異なるため、詳細はNDBのリリースノートを参照してください。

(参考)Nutanix Database Service Release Notes 2.5.2.1


対応しているデータベース

NDBは、全てのデータベースをサポートしているわけではありません。残念ながら、SynfowareやHiRDB、Btrieve、InformixやDB2などは対応していません。

NDB 2.5.2.1では、以下のデータベースをサポートしています。

  • Oracle DataBase 11.2.0.4 ~ 21.3.0.0.x(OSは、OEL/RHEL/SUSEのみ、RAC対応)
  • SQL Server 2012 ~ 2019(OSは、Windowsのみ)
    ※1 登録は、2008 R2にも対応
    ※2 Always On 高可用性グループ及びフェールオーバークラスタリングインスタンス(FCI)に対応
  • PostgreSQL 10.x ~ 14.x(OSは、CentOS/RHEL/Ubuntu/Debianのみ)
    ※1 EDB PostgreSQL Enterprise Editionのも対応
    ※2 クラスター構成の場合、Patroni/Etcd/HAProxy/Keepalivedが必要
  • MySQL 5.6 ~ 8.0 (OSは、CentOS/Ubuntu/Debian/RHELのみ)
  • MariaDB 5.5 ~ 10.3 (OSは、CentOS/RHELのみ)
  • MongoDB 5.x (OSは、CentOS/RHEL/Ubuntu/Debianのみ)


グリーンフィールドとブラウンフィールド

NDBのリリースノートを見ているとこの用語が至る所に出てきます。

グリーンフィールド
NDBを介して展開されたデータベースサーバーのこと。

ブラウンフィールド
NDBを介さず手動等で展開したデータベースサーバーのこと。この場合は、NDBへの登録で、NDB管理配下にすることができます。

注意点としては、まずWindows版のOracleは、管理不可であることをご認識下さい。
SQLServerは、Windows版のみサポートでLinux版は、対応していません。
各データベースソフトウェアが最も得意としているOSをNDBは、対応していることに注意してください。

また、対応しているデータべーソフトのOS対応情報とデータべーソフトのバージョンは必ず遵守してください。例えば、CentOSの代わりにRockyLinuxを用いてPostgreSQLを利用したり、PostgreSQLのバージョン15をCentOSに入れたりした場合、Compatibilityの範囲外となり、NDBへの登録・展開ができない場合があります。

また、グリーンフィールドの場合とブラウンフィールドの場合で、NDBの中で利用できる機能が一部異なる点も注意が必要です。

その他にもNDB専門の用語がありますが、順次作業を進める中で出てくるタイミングでお伝えします。NDBの用語は、Nutanixのドキュメントに記載がありますのでそちらを参考にして下さい。

(参考)NDB Terminology Reference


次回は、実際にNDBでデータベースの管理ができる手順を順を追って説明していきます。




2023年7月25日火曜日

NDBの展開(その2)

前回までに、NDBの管理コンソール画面にアクセスできるところまで設定しました。

今回から、NDB管理仮想アプライアンスの初期設定を行っていきます。

NDBクラスターの名称(任意の名称)と、NDBで管理するDB仮想マシンを展開するPrismElementの管理者情報を入力します。


続いてネットワークセグメンテーションの設定画面になります。Nutanixクラスター側でネットワークセグメンテーションが有効になっている場合は、iSCSIデーターサービスのVLAN選択を行う必要があります。(Nutanixクラスター側でネットワークセグメンテーションが有効でない場合、この設定はスキップできます)


続いて、DNSやNTPサーバー、タイムゾーンの設定を確認します。この情報は、Nutanixクラスター側から取得してきますのでほとんどのパラメーターが自動入力されています。
必要に応じて(特にSMTPサーバー)の設定を入力し、次に進みます。


続いて、NDBで展開するデータベースサーバーが利用するストレージコンテナを選択します。

最後に、展開するデータベースサーバーが利用するVLANの設定を行います。
IPAMの設定が行われている場合は、プールの設定をせずIPAMからのIP払い出しが可能です。IPAMを利用しない場合は、IPアドレスプールを設定します。このIPアドレスは、NDBから展開したDBサーバーに付与されるIPアドレスに利用されます。

次に進むと、設定情報が反映されます。しばらく時間がかかりますのでそのまま待ちます。


しばらく待つと、タスクが完了します。

「開始します」をクリックすると、初期の画面が表示されます。


次回は具体的なNDBの利用方法について1つずつ見ていきます。






2023年7月24日月曜日

NDBの展開(その1)

では早速NDBの展開を行っていきます。

NDBは、Nutanixプラットフォーム(NC2を含む)で、ハイパーバイザーが、AHVもしくはvSphereの環境に対応しています。

2023年7月現在、最新のNDBは、「2.5.2.1」となります。今回は、AHVバージョンを利用して作業を行います。

AHV用のqcow2を、Nutanixサポートポータルから取得します。


AHVのイメージサービスにダウンロードしたqcow2を登録します。


展開したqcow2を元に仮想マシンとして展開します。

NDBの仮想マシンは、以下のスペックをベースとして展開してください。

TimeZone : UTC
vCPU Core : 4
vCPU Socket : 1
RAM : 16GB
モード : Legacy BIOS
NIC : 任意のVLAN(マルチNICも対応)

※参考
Installing NDB on AHV

なお、IPアドレスの設定は、cloud-initを使って設定可能ですが、vSphereの場合は、設定方法が異なる事から、今回は、AHVでもvSphere寛容でもどちらでも適用可能な、仮想マシン起動後にコマンドでIPアドレスを設定する方法をご紹介します。

仮想マシンが構成できたらパワーオンを行います。コンソール画面を開き、以下のユーザー名とパスワードでシェルにログインします。

ユーザー名 : era
パスワード : Nutanix.1

IPアドレスを設定するため以下のコマンドを入力します。

era-server
era-server > era_server set ip=付与したいIP netmask=付与したいネットマスク gateway=付与したいデフォルトゲートウェイ nameserver=DNSサーバー ntp_server=NTPサーバー

注意すべき点は、era-serverコマンドで、NDBプロンプトに入ります。その次にIPアドレスを付与する際にコマンドは、era_servereraのあとがアンダースコア)であることに注意してください。また、NDBの仮想マシンはキーボードが101キーボード設定になっています。106/109キーボードの場合、アンダースコアー(_)は、「Shift+-(ハイフン)」、イコール(=)は、「^(ハット)」になりますのでこちらも注意してください。

NTPサーバーとDNSサーバーは、任意入力となりますが、NTPは特に設定しておくことを強くお勧めします。(タイムマシン機能時の時間ずれを防止するため)


このコマンドが実行完了するまで、しばらく時間がかかります。

設定が完了したら、ブラウザで指定したIPアドレスにアクセスします。
EULAが表示されたら、同意し、adminユーザーの新しいパスワードを設定します。もし、EULAが表示されない場合、以下のデフォルトユーザーでログインを行います。


デフォルトのadminユーザーのログイン情報
ユーザー名 : admin
パスワード : Nutanix/4u

ログインに成功すると、以下のような設定画面が表示されます。


次回は、ウィザードの内容に従って、初期設定を行います。




2023年7月23日日曜日

NDBで管理するデーターベースのメリット

NDBは、Nutanix Database Serviceの略称です。
NDBは、その昔Nutanix ERAと呼ばれていた、データーベースの管理ソフトウェアになります。

世の中で稼動するアプリケーションにおいて、データベースの存在は欠かせません。一方データベースはどんどん肥大化しかつミッションクリティカルになってきています。データベースの管理を怠るとデータベース障害の発生リスクを呼び、アプリケーションの稼動に影響を及ぼす可能性があります。

一方、データベースの管理は、データベーソフトウェアに応じた独特の管理方法が必要で、その習得には時間を要する課題があります。

NDBは、そんなデータベースの管理を楽にするツールです。

NDBは、以下の特徴を持った機能を有しています。


1.数クリックでデータベースサーバーを展開

シングルインスタンスのSQLServer データーベースや、SQL Server AllwaysOn 高可用性グループやOracle RACなど、構築が難しいデータベースサーバーもマウスの数クリックだけでデータベースサーバーを構築可能です。


2.データベースサーバーへのパッチの一括適用

データベースサーバーは塩漬け運用という形で、1度稼動すると基本パッチを適用しない運用が多く続けられてきました。昨今では、脆弱性を突いた攻撃なども増えていることから、高いった塩漬け運用は古の悪しき運用となり、昨今では、積極的なパッチ適用が運用の現場でも求められています。しかし、OracleのOPatchのように、パッチ適用にはそれなりのスキルナレッジがないと作業が難しいケースが多くあります。
NDBは、稼動しているデータベースサーバーに対して、パッチ適用のオペレーションをマウスクリック数回の作業だけで適用できる機能を持っています。
沢山のデータベースサーバーを管理している場合においては、パッチ適用の時間を大幅に短縮することもできますし、データベースの高度なスキルを持った人月度対応する事も無くなります。


3.タイムマシンによるデーターベースのロールバック

データベース運用においてノウハウを必要とする機能の1つがアーカイブログ(トランザクションログ)の運用ではないかと思います。アプリケーションのバグや何らかの形でデータベースのデーターに不具合が生じたり、データベースの障害が発生した場合、なるべく最新の状態までデーターを復旧させる必要があります。レガシーな運用では、毎日夜間にDMPファイルの出力でバックアップ対応しているケースが多く見受けられますが、DMP出力後に変更されたデーターはリカバリの対象とはならないので、より新しいデーターのバックアップという観点に置いて、DMPでのバックアップ運用は限界があります。また、DMPは差分出力ができないので、データベースのサイズが大きくなればなるほど時間がかかることから本番運用のデータベースに置いてDMPでのバックアップは限界があります。
NDBは、アーカイブログを管理を行う機能を持っています。定期的なログファイルの取得は、もちろんデータベースサーバーの障害発生時には、面倒なコマンドを使うことなく、マウス操作だけで任意の時間(1秒単位)でデータベースの内容を戻すことができます。


4.データベースのクローン

パッケージソフトウェアの開発など、開発の現場では、運用中のデータベースを元にカスタマイズプログラムを作成したり、運用中で障害が発生すると、そのデータベースのデーターを元にバグの調査をするなど、1つのデータベースから派生するデータベースは、開発の現場で多く存在しているケースがあります。
従来は、元となるデータベースのデーターをエクスポートして取得したDMPを、別のスキーマーや別のインスタンスにインポートするなどを行っていたため、エクスポートとインポートに大幅な時間を要することと、データベースを稼働させるストレージも大量に消費するため、無駄なことが多い運用でした。
NDBを利用すると、Nutanixの持っているストレージの機能を利用し、ストレージベースのポインターとアーカイブログ管理機能を用いて、クローン元のデータベースの任意の時間をベースに、高速なクローンが可能です。



NDBは、今までのデータベースの運用に置いて、DBの構築やアーカイブ運用といったスキルを必要とする部分をデータベースに詳しい一部のエンジニアに負荷が集中するを避け、より可視化された形で、チーム全体で運用ができるように支援するツールです。

次回からは、NDBの展開方法と使い方をご紹介します。


2023年6月3日土曜日

AHV環境におけるWindows仮想マシンのシャットダウンについて

AHV環境では、仮想マシンの電源管理に、物理的なPCなどでも利用されているACPIの命令を利用しています。このACPIの命令は、業界標準の規格であるためどのようなOSに対しても統一的に電源制御できるのが特徴です。

しかし、Windows OSについては、ACPI命令に対応しているものの初期設定の場合、条件によっては、ACPIによるシャットダウン命令を受けてくれないことがあります。

そのため、NGTを経由してシャットダウンする方法が提供されていますが、環境によってはNGTを稼動できない状況下があるかと思います。

本日は、ACPIコールによるシャットダンをWindows仮想マシンで行うポイントをご紹介します。

1.一定時間無操作によるディスプレイの電源OFF

サーバーOSであっても一定時間無操作であると、ディスプレイの電源をOFF(信号出力を止める)のがデフォルトでオンになっています。ディスプレイ電源がOFFになった状態で、ACPI経由でシャットダウン命令がコールされると、ディスプレイの電源が表示(画面出力の信号が行われる)だけで、シャットダウンは行われません。さらにもう一度シャットダウンのACPI命令を投げることでシャットダウンが行われます。
UPS連携などでシャットダウンを行う場合、このままでは正常にシャットダウン出来ない可能性があります。従ってディスプレイの電源を切るは、「なし」に設定しておくことが大事です。

▼設定画面からの変更方法

▼コントロールパネルからの設定変更


2.画面ロック時のシャットダウン

ディスプレイの信号停止によるシャットダウンの影響は比較的簡単に対策をすることができます。一方で、画面ロック時のシャットダウンについては、少々厄介です。
これは、Windowsの画面で操作を行い一定時間無操作の場合や、意図的に離席するなどので「Ctrl + Alt + Delete」でロック、もしくは、「Windowsキー + L」で画面を見えないようにして、第三者の不正な操作や機密情報を盗み見るショルダーハックを防止する機能です。
これはこれで、重要な意味を持つのですが、Windows OSのデフォルト設定では、画面ロックが行われている場合、ACPIによるシャットダウン命令を無視する仕様となっています。

▼画面ロックの状態


これは、ロック時は、作業途中という扱いになりシャットダウンが行われないように設計されているWindows OSのデフォルトの動作となります。
しかし、VDI環境や停電時は、安全なシャットダウンが優先されますので、OSの正常シャットダウンを優先すべきなケースがあります。

ロック時におけるシャットダウンの設定について、ご説明していきます。

Windowsには、ロック時でもシャットダウンを強制するオプションがあるのですが、こちらがデフォルトでは非表示になっています。

▼電源ボタンに対する設定が表示されない


そこで、まずは強制シャットダウンのメニューを表示させる必要があります。
該当のWindowsマシンから、以下のコマンドを管理者で実行します。

powercfg -attributes SUB_BUTTONS 833a6b62-dfa4-46d1-82f8-e09e34d029d6 -ATTRIB_HIDE

このコマンドを実行後、「コントロールパネル」→「電源オプション」→現在設定されているプランの「プラン設定の変更」を開きます。

「電源ボタンとカバー」→「強制ボタン/カバーシャットダウンを有効にする」→「設定」を「オン」に変更します。


この設定を行うことで、画面ロック時にもシャットダウンを行うことが出来るようになります。

なお、間違えやすいのですが、電源ボタンとカバーの配下にある「電源ボタンの操作」をシャットダウンにしてもロック状態でのシャットダウンはできません。「強制ボタン/カバー シャットダウンを有効にする」の項目を「オン」にするので、間違えないようにして下さい。


詳細は、こちらもご参考下さい。
Power actions initiated from Prism or API may fail for Windows VMs





2023年1月8日日曜日

Nutanixオンライン試験の受験ポイント(その2)

前回までにNutanix試験の受験方法をご紹介しました。

今回は、実際に試験当日の流れについてご紹介いたします。

当日は、Webカメラで試験官の監督のも、受験を行います。試験を受ける前に、試験官から、試験を受ける場所のチェックが行われ、不正行為が行われない環境かどうかを確認されます。試験官の確認が完了後、試験が開始されます。この試験環境チェックは、試験官とチャットでやりとりをするのですが、この内容が英語でのやりとりとなる点に注意をして下さい。試験官が、受験場所を確認が完了すると、試験問題が表示され、試験が開始されます。受験中にカンニングと思われる事項が発生した場合、強制的に試験が中断されますので注意してください。


まず、当日の環境についてご説明をしておきます。

準備しておく物

  • 受験用のPC
  • Webカメラ(PC内蔵 or USB接続)
  • マイク(PC内蔵 or 小さいマイク)
  • 身分証明書(パスポートが望ましいが、運転免許証・マイナンバーカードも可能)
  • 受験予定時間+2時間
    (問題を解く時間の他、環境チェック等の時間にだいたい1時間~1時間半ほどかかるため)

受験の場所

試験を受けるときは、誰もいない部屋で試験を受ける必要があります。オフィスの中など他の人がいる場所ですと、Webカメラで環境チェックの際に、指摘されますので、会議室を取るなど誰もいない部屋をあらかじめ確保してください。
自宅の場合、第三者が入ってこないようにドアを閉める必要がありますので、あらかじめ扉を閉めても問題が無いようにしておいてください。

周囲の環境

受験する机の上は、PCとモニターのみとなります。カレンダーやそのほか机の上に置いているものがあればそれはあらかじめドカしておいてください。受験する場所の天井に何らかの紙やポスターを貼っている場合は、そちらも外しておいてください。

デスクの横に、小さな本棚など移動が出来ないものがある場合は、あらかじめ布を掛けるなど、見えないようにしておいてください。

PCの環境

受験専用のソフトウェアをPCにインストールする必要があります。Administrator権限は必要ありませんが、PCへのソフトウェアインストールが許可されていないPCや、制限があるPCでは、正常に動作しない可能性があります。受験用ソフトウェアは,受験のタイミングでしかダウンロードが出来ません。もしPCに制限がある場合、受験の時間だけその制限を解除するようにしておく必要があります。
当日はWebカメラを利用します。Webカメラは、USBの外付けでも、ノートパソコンの内蔵カメラでも構いません。また、マイクも利用します。マイクもPC内蔵の物でも外部マイクでも構いませんが、デスクに設置するマイクなどの場合、そのマイクに文字が書かれているとどかすように指摘を受ける可能性がありますので、可能であればPC内蔵マイクか、外部マイクの場合、小さなマイクを用意しておくのが善いと思います。Bluetoothのイヤホンマイクの場合、身につけず、机の近くに置いておき、マイクで周囲の音が取れるようにするのがおすすめです。
資産管理ソフトやセキュリティソフトで、マイクやカメラの利用が制限されている場合は、別のPCを利用する必要があります。

なお、マルチモニターの環境は禁止されています。受験用のソフトウェアでマルチモニター環境の場合受験が出来なくなっております。PCからディスプレイのケーブルを抜かないとマルチモニター環境と認識されますので、ノートパソコンの場合は搭載のディスプレイで、デスクトップPCの場合は、ディスプレイは1台だけ接続を行って下さい。
なお、ディスプレイをPCから接続を外した場合でも、受験時の環境チェックでモニターが複数ダイアル場合は、モニターを別の場所に移動するように指摘を受けることがあります。実際にモニターを移動することは困難かと思いますので、こちらもあらかじめ利用しないモニターには布を掛けておき、モニターが見えないようにしておけば大丈夫です。


では、具体的に受験方法をご紹介します。

受験当日、予約した受験時間の前後30分前になったら、受験申込時と同様に、MyNutanixを経由し、Nutanix Universityを開き、ハンバーガーメニューからTake an Examを開きます。


PSIの試験ページが出てきたら、受験時間の前後30分前になると「Launch Exam」ボタンが押せるようになりますので、クリックします。

実行するかを聞かれますので、「Yes, launch the exam」をクリックします。


「Install Secure Browser / Launch Exam」をクリックします。受験ソフトウェアがインストールされていない場合は、インストーラーバイナリがダウンロードされますので、それを実行し、インストール作業を行います。インストール後、再度、「Install Secure Browser / Launch Exam」をクリックします。


PSIのソフトウェアがインストールされている場合は、以下のような画面が表示されますので、「PSI Secure Browserで開く」をクリックします。


受験ソフトが起動すると、カメラとマイクデバイスの選択画面が表示されます。受験者が正面に映るカメラとマイクを選択します。

このような画面が表示された場合は、マイクから周囲の音が拾えているかのテストのなります。声を出すとレベルメーターが振れ「Continue」がクリックできるようになるので、クリックし、先に進みます。


続いて、PCの環境チェクに入ります。

「Number of allowed monitors during sessio:1 」は、モニターの数が1台かの確認になります。モニターの電源をオフにしても、モニターのコンセントを抜いても、モニターのケーブル(HDMIやVGA等)がPCに接続されていると複数台と認識されますので、複数台のモニターを接続している場合は、PCからモニターの接続ケーブルを抜いて下さい。

「No prohibited application or processes during session」は、受験時に起動していて良いアプリケーションの確認です。Slack等のチャットツールやVNC等は、終了する必要があります。「TERMINATE ALL THESE APPLICATION」ボタンを押すとアプリケーションが終了しますが、サービスで起動したアプリケーションや別のユーザー(管理者など)で起動しているプロセスは、終了出来ませんので、手動でタスクマネージャー等でプロセスの終了を行って下さい。

調整が終わったら、「RECHECK」をクリックし、再度チェックを行います。チェックが通ると、NEXTをクリックします。


続いて、用意した身分証明書をWebカメラに向けて撮影ボタンをクリックし、「CONTINUE」をクリックします。


続いて「Selfie Capture」、自分の写真の撮影となります。
Webカメラを正面にして、カメラボランをクリックし、「CONTINUE」をクリックします。


すると、チェックのためしばらく待機の画面となります。現在では、何人待ちなのか人数が表示されるようになりました。この画面で1時間半ぐらい待たされることもありますので、気長に待って下さい。日本時間が昼の場合、アメリカでは深夜となりますので、配置されている試験官も少ないようで、状況によってはかなりの時間待つこととなります。


しばらくすると、チャット画面が表示され、試験官からメッセージが送られてきます。

最初は以下のような内容です。

Hello! will be your check-in specialist today. I am here to confirm your identity and test environment. If you have any question, or need help, I am available through the Live Chat button.
Additionally, the support phone numbers associated with your test are available next to the Live Chat button, should you need them.

日本語では、以下のような内容となります。

こんにちは! が本日のチェックインスペシャリストになります。 あなたの身元とテスト環境を確認するためにここにいます。 ご質問がある場合、またはサポートが必要な場合は、ライブ チャット ボタンからお問い合わせください。
さらに、必要に応じて、テストに関連付けられたサポート電話番号が [ライブ チャット] ボタンの横に表示されます。


続いて以下のような内容が送られてきます。

Hello and welcome to your exam. I will your proctor today; I am here to assist you and will be monitoring your exam.

I am available thiroughout the exam via the chat option in the toolbar if you have an question. I will now perform a brief environment check.

日本語では、以下のような内容となります。

こんにちは、試験へようこそ。 今日はあなたの試験監督をします。 私はあなたを支援するためにここにいて、あなたの試験を監視します。
質問がある場合は、ツールバーのチャット オプションを使用して、試験中いつでも対応できます。
ここで、簡単な環境チェックを実行します。


ここから、受験場所のチェックがはじまります。チェック内容は試験官によって異なりますが、大まかな内容は同じですので、サンプルとしてご紹介します。


At the please pan your webcam around the room slowly, showing all walls from the floor to ceiling.

日本語での意味合い:
床から天井まですべての壁を映しながら、ゆっくりと部屋の周りを Web カメラを動かして撮影してください。
→天井もしくは足下ににカンニング用紙を貼っていないかなどのチェックのため


Pan slowly from your ceiling and down to your floor.

日本語での意味合い:
ゆっくりと天井から床までカメラを移動しながら撮影します。
→天井もしくは足下ににカンニング用紙を貼っていないかなどのチェックのため


Please show me all four corners of your desk.

日本語での意味合い:
あなたの机の四隅をWebカメラで撮影して下さい。


Please go a few steps back and show me the entire desk.

日本語での意味合い:
数歩さがって、机全体を見せてください。
→机の上にカンニングにつながる物が置かれていないかのチェック


Now show a view of the area directly underneath where you will be placing your laptop and/or keyboard.

日本語での意味合い:
ラップトップやキーボードを配置する場所の真下の領域のカメラに写して下さい。
→キーボードの裏などにカンニング資料を置いてないかの確認


Please show your cell phone to the camera and place it out of reach.

日本語での意味合い:
携帯電話をカメラに向けて、手の届かないところに置いてください。
→携帯電話(スマホ)を1度Webカメラに見せた後、カメラから姿を消して、手の届かないところにスマホを置いた後、席に戻りスマホを持ってないことをカメラに見せて下さい。
この手順が案愛されるまでは、スマホは手元に置いていて構いません。


Please take a seat where you are testing and show both sides of your arms to the camera,including your wrists.
All watches and removable wrist gear must be taken off.

日本語での意味合い:
テストをしている席に着き、両腕をカメラに向けてください。手首も含めて。
すべての時計と取り外し可能なリストギアは外さなければなりません。
→カンニング防止のため


Kindly roll up your sleeves and show me the wrist.

日本語での意味合い:
袖をまくって手首を見せてください。
→カンニング防止のため


Please show clear views of each ear to the camera.

日本語での意味合い:
カメラに各耳を映してください。
→イヤホンによるカンニング防止のためのチェックです


You are allowed to have a aglass of water or a water bottle without any labels.
If you have either of these, please show them to me.

日本語での意味合い:
ラベルの付いていないコップ1杯の水または水筒を飲むことができます。
どちらかをお持ちでしたら、見せてください。
→飲料を必要としない場合は、「no have water」と回答して下さい。


If you experience a technical concern, our Technical Support Representatives are the best option to assist you,
I can asl them to join the exam session, or you may call one of the numbers at the top oof your screen.
Take note that the international number may incur additional charges.
Please let me know your preference for support if needed.

日本語での意味合い:
技術的な問題が発生した場合は、テクニカル サポート担当者が最適なサポートを提供します。試験セッションに参加するか、画面の上部にあるいずれかの番号に電話してください。国際番号には追加料金がかかる場合があることに注意してください。
サポートが必要な場合は、ご希望をお知らせください。
→現実的に日本から国際電話はハードルが高いと思いますので、無視して構いません。


Thank you for completing check-in. Your exam will be released momentarily.
If you need to contact me, please use the "Chat" option in the toolbar.
Thank you and good luck.

日本語での意味合い:
チェックインを完了していただきありがとうございます。 試験はすぐにリリースされます。
私に連絡する必要がある場合は、ツールバーの [チャット] オプションを使用してください。
ありがとう、そして幸運を祈ります。


これらのやりとりをクリアした後、自動的に試験問題が表示されますので、あとは受験を行う流れとなります。


もし、受験中に受験ソフトウェアが落ちたりPCが異常終了して再起動した場合は、PC再起動後、PSIのアプリケーションを手動で起動すれば、途中から試験を受けることが出来ます。
(既に受験予約時間を30分以上すぎると、PSIのWebページからは、Launch Examで試験を開始できませんが、PC上にはセッションが残っているので、PSIのアプリケーションを手動で起動すれば、試験を再開できます)

どうしても離席しないといけない場合は、受験ソフトの左にある「REQUEST BREAK」をクリックします。


チャットのやりとりでのポイントですが、スマートフォンは、別の場所に置くよう指示をされるまでは、手元に置いていて構いません。チャット内容で英語の内容が理解できない場合は、Google Lensなどを利用して翻訳をかけてそれに対して回答してもらえれば問題ありません。(当然ながら試験開始後のスマートフォン利用は禁止です)

机の上のチェックは、試験官によりますがかなり念入りに行われるケースがあります。用意できる場合は、簡易的な折りたたみ机などを用意し、その上で受験されると、机のサイズが最小限のサイズで、カンニングの要素となる物が置けないので、簡単にチェックをクリア出来ます。

あとは、受験までに時間がかるので、受験時は、後ろの時間を余裕を持って空けておいてください。


これだけ準備すれば、あとは試験に集中できると思います。



2022年12月19日月曜日

Nutanixオンライン試験の受験ポイント(その1)

Nutanixのプロフェッショナル試験は、PSIの試験システムで受験が可能です。
今回から2回にわたって、PSIの試験受験のポイントをご紹介します。

今回は、受験申し込み方法です。

申し込みは、MyNutanixのページを経由し、Nutanix Universityのページにアクセスします。

https://my.nutanix.com/


Universityページにジャンプしたら、ハンバーガーアイコンから「Take an Exam」をクリックします。


Take an Examをクリックした際に、以下のように「Account Incomplete!」と出てくる場合は1時間程度待っていただき、それでも事象が変わらない場合は、Nutanix Universityの問い合わせ先に、連絡をする必要があります。

正常にページが遷移した場合は、PSIのページで試験一覧が表示されます。


以下のように試験一覧が表示されない場合は、Nutanix Universityの問い合わせ先に、連絡をする必要があります。



試験一覧が正常に表示された場合は、受験したい試験の「Schedule」をクリックします。

Scheduleをクリックすると、オンサイトで試験会場(テストセンター)で受験するか、オンラインで受験するかを選択します。ここでは、リモートでのオンライン受験で申し込みます。


スケジュールページに行くと、以下の淳で設定をします。

  1. 右上の試験言語(一部の試験は日本語に対応しています。また日本語受験の上で当日の試験画面で、言語を変更することも出来ます)
  2. Country/Locationで、Japanを選択
  3. Timezoneで、Asia/Tokyoを選択
  4. 左下のカレンダーで、受験をしたい日付を選択します。(受験可能日はおおよそ③ヵ月先まで予約可能です)
  5. Available Start Timeで、試験を開始する時間を設定します。
    この指定した時間の前後30分から試験システムを開始します。試験システムを開始後環境チェック等で時間を要しますので、この設定した時間からすぐにテスト問題を受けられる分けではありませんので、注意してください。


テストセンターの開始時間の確認が表示されます。「Continue」をクリックします。


支払いのページに進みます、

バウチャーコードを持っている場合は、Voucher/Discount Couponの枠に、コードを入力し、Applyをクリックします。

その場合、Payment Summaryのページが、マイナスが入っていることを確認します。

最後にPay Nowをクリックすると、サマリーページが表示されます。

このページから、受験日の再スケジュールが可能です。


後日受験日程を変更する場合は、最初の受験申し込み同様に、University経由でPSIのページで開くとダッシュボードに受験予定の試験が一番上に表示されます。


この画面のView Datailsから、受験日日程を変更することが可能です。

なお、試験日時の変更は、受験当日の24時間前まで変更が可能です。


受験設定は、簡単な手順で予約可能です。バウチャーコードを入手できた場合は、是非Nutanixのプロフェッショナル試験を受験してみてください。