2020年12月4日金曜日

NutanixにおけるイメージングツールFoundation(その3)

前回までFoundationの基礎をお伝えしました。
今回は実際にFoundationを行うための環境を作りたいと思います。
前回お伝えしたとおりFoundationには複数の導入方法がありますが、今回は仮想アプライアンス版を利用したいと思います。


Step.1 VirtualBoxを導入数する

既に、VMware Workstation やFusion、もしくはESXiなどOVAをインポートできる環境があればVirtual Boxにこだわる必要はありませんが、ここでは、VirtualBoxを利用してOVAをインポートできる環境を作りたいと思います。

https://www.virtualbox.org/

より、VirtualBox 6.1(12/3時点)をダウンロードします。


今回はWindows環境に導入しますので、Windows hostsをダウンロードします。


ダウンロードした「VirtualBox-6.1.XXX-Win.exe」を実行し、インストールを行います。


ウィザードに従って、インストールを行います。


インストールオプションを選択します。基本デフォルトのまま(全ての項目をインストールを行ってください)FoundationVMは、NATモードでは無くブリッジモードでないと利用が出来ませんので、Bridge Networkingは必須となります。

ショートカットアイコンの配置について各種設定を行います。デフォルトのまま進めます。

一時的にネットワークが切断されるとのメッセージが出てきますので、確認してYesをクリックして進めます。

事前の準備は出来ましたので、Installをクリックし、インストールを実行します。

インストールが実行されます。

途中仮想USBデバイスが表示されますので、インストールを行います。

インストールが完了しました。このままVirtualBoxを起動します。

無事にVirualBoxが起動しました。



Step.2 FoundationVMの導入

では、次にFoundationのOVFをダウンロードします。
MyNutanix(https://my.nutanix.com)からSupportPoralにログインします。
サポートポータルはNPNパートナーもしくは商用版のNutanixユーザーのみがアクセス可能です。

サポートポータルのDownloadsからFoundationを選択します。

沢山のFoundationイメージが出てきますが、ここでは、VirtualBox用のイメージをダウンロードします。


ダウンロードしたファイルは、tarファイルになるため、7zip等でtarファイルを展開します。

展開したファイルから、Foundation_VM-4.X.ovfをダブルクリックします。

インポートのウィザードが表示されるので、そのままインポートを行います。

インポートは環境によって異なりますが大体3~5分程度で終わる物と思います。

インポートできたFoundationVMをパワーオンします。

無事にFoundationVMが起動しました。
nutanixユーザーのパスワードは「nutanix/4u」でログインができます。

ログインが成功するとCentOSベースのGNOMEデスクトップが表示されます。


以下のように仮想マシンがパワーオンできない場合は、稼働している物理マシンでintel VT-dが有効になっていない可能性が高いです。

PC側のBIOSにて、VT-dを有効化したうえで再度仮想マシンを起動してみるとうまく起動できると思います。

(参考)Intel VT-dの有効化または無効化
https://techlibrary.hpe.com/docs/iss/proliant_uefi/UEFI_TM_030617/ja_help/s_enabling_VT-d.html


これでFoundationの環境準備ができました。
次回は、Foundationの動きの確認を整理したうえで、実際にFoundationによるイメージングを行う手はずに入りたいと思います。




2020年12月3日木曜日

NutanixにおけるイメージングツールFoundation(その2)

前回はFoundationツールの概要を紹介いたしました。
Foundationツールは、用途に応じて複数種用意されています。今回はそれぞれのFoundationツールと用途を確認していきます。


VM版 Foundation

最もよく使われているNutanixイメージングツールであるFoundationの代表格。仮想アプライアンスとして提供され、OVAでVMware環境やVirtualBoxで利用可能。その他AHVの上で稼動するqcow2の形式も提供されます。VM版Foundationは、NPN登録パートナーのみに提供されます。Foundationのツールとして行える全ての機能が利用でき、動作実績も豊富なため、通常エンジニアがFoundationによるイメージング作業を行う場合、このVM版を利用することがほとんどです。
VM版は、GnomeGUIが起動する形で仮想アプライアンスが展開されます。

 ▼FoundationVMのOS起動画面



アプレット版 Foundation

簡易型のFoundationツール。Javaアプレットを利用していることもあり、この後のアップデートは予定されておらずユーザーは、たのFoundationツールに乗り換える必要があります。
アプレット版Foundationは、5MB以下の小さなバイナリで実際には、イメージングを行うNutanixのノードに事前展開されたCVMをIPv6のリンクローカルアドレスを利用したノード検出を行い、検出したCVMにあらかじめインストールされているFoundationツールを利用してイメージングを行うツールです。そのため、Cisco UCSやDELL PowerEdgeなど、Nutanix認定ノードでは無いサーバープラットフォームへのイメージングにはアプレット版は利用できません。


Portable版 Foundation

Portable Foundationは、2018年頃からリリースされた新しいFoundationツールです。Mac版、Windows版とOS毎に用意されインストーラーを通じてOSのアプリケーションとして動作します。VM版Foundationと違い一部の機能がサポートされていません。


Nutanixの初期設定においては基本VM版Foundationを利用することがお勧めです。しかしVM版Foundationは、Nutanixのノードがデーターセンター等に設置され、作業用のPCで、仮想環境を立ち上げることが出来ない(VirtualBoxやVMware Fusionなど)環境においては利用することができません。その場合は、適宜必要に応じてPortable版Foundationの利用を計画します。
アプレット版Foundationについては、今後のアップデートが予定されていないため、今後の利用においては、Portble版かVM版の利用を検討しましょう。



今回は、Foundationツールの種類と特徴について確認をしました。次回では実際にFoundationを展開してみたいと思います。




2020年12月2日水曜日

NutanixにおけるイメージングツールFoundation(その1)

Nutanixを導入する際に、一番最初に手にするツールが、Foundationツールです。

Nutanix Foundationは、Nutanixクラスターのイメージング及びクラスター作成を個なうためのツールです。Foundationは、NutanixのNPNパートナーかつNutanix Certified Services Consultantの資格を持つエンジニアが作業をすることが推奨とされています。(Foundationの各種ツールはNPNのみに提供されます)

今回は、このFoundationツールとは何かを紹介します。

Foundationツールは、上記に記載の通り、イメージングツールです。
Nutanixにおいては、Nutanix純正のNXの他、HPE社のProLiant DXシリーズやDELLのXC/XC Coreシリーズなど多くのハードウェアプラットフォームをサポートしていますが、Nutanixをサポートしているハードウェアは、全てこのFoundationツールでイメージングを行います。

今までの仮想化基盤においては、ストレージコントローラーの設定からはじまり、RAIDグループの構築など、まずは容器の設定を終えた上で、サーバーとストレージの接続それから、サーバー側のハイパーバイザーのインストール後、ハイパーバイザーの諸設定、管理サーバーの展開後、ワークロードの仮想マシン展開が行えるようになり、1台の共有ストレージと3台のホストであればおよそ2日程度の作業はかかるかと思います。規模がもっと大きくなると設計も含めまず仮想マシンを展開するまで1週間以上の時間を要することもまれではありません。

このような単調かつ同じことの繰り返しにで時間を使うことは、エンジニアにとっても退屈な作業でありかつ時間のかかる作業ですので効率化したいと考える作業の1つであると考えられます。Nutanix Foundationは、この退屈な作業を一括化して初期のキッティングと言われる基本的な導入作業を自動で行い、ワークロードである仮想マシンを展開する直前までを作ってくれる機能です。


これを聞くと、早速Foundationを使ってみたいと感じてしまいますが、次回は具体的にFoundationツールの種類と使い分けについて確認していきたいと思います。




2020年12月1日火曜日

孤立したスナップショットの確認と削除の方法

 NutanixとAHVの構成において、仮想マシンのスナップショットは、ストレージブロックベースのスナップショット取得となります。

一方Prism画面からは、仮想マシンを削除する際に、取得したスナップショットを削除しないまま仮想マシンを削除することができてしまいます。


▲Delete all snapshots of this VM?のチェックを入れずに仮想マシンを消すと、その仮想マシンで取得していた、スナップショットは孤立したスナップショットになります。

こうなると、スナップショットは元の仮想マシンが存在しない孤立したスナップショットとなってしまいます。

この形で孤立したスナップショットはPrism上からは確認することが出来ず、そのままゴミとしてのこり続けます。今日はこのゴミとなったスナップショットを復元する方法と削除する方法をお伝えします。


孤立したスナップショットの確認

孤立したスナップショットは、NCCを利用することで確認できます。

ncc health_checks hypervisor_checks orphan_vm_snapshot_check

実行すると以下のようなUUIDで孤立したスナップショットの結果が表示されます。

Detailed information for orphan_vm_snapshot_check:
Node 192.168.XXX.YYY:
INFO: Found 9 orphan VM snapshot(s): ['660380b2-a2c1-4e4a-807b-0e230e0b5512', '4186337a-7218-4c6e-b88a-ccfade14fa2c', '588ca5a0-6416-4ffa-9a01-eea78a062f6f', '7638e79a-64be-4890-b87d-ed83aca4398c', '9199e109-6a40-4c32-8135-5a806282dc7b', '070dd5b0-4361-4d1f-aef2-5284640a5319', '5fa8aa7c-ed73-412d-978d-5f624b5a872c', '148a3176-943d-45bd-89f4-6c3d1362aced', '2a898e7f-1a45-4ed7-a89e-8aa77ef71f7a'].
Refer to KB 3752 (http://portal.nutanix.com/kb/3752) for details on orphan_vm_snapshot_check or Recheck with: ncc health_checks hypervisor_checks orphan_vm_snapshot_check

この環境では、9つの孤立しなスナップショットがあることが分ります。



孤立したスナップショットが何の仮想マシンかを確認する

孤立したスナップショットのUUIDは分りましたが、このスナップショットが何の仮想マシンで利用されていたのか、また、どのような名称を付けていたスナップショットかを確認します。

以下のコマンドを利用して、スナップショットの情報を取得します。

acli snapshot.get <SNAPSHOT-UUDI>

ここでは試しに、「5fa8aa7c-ed73-412d-978d-5f624b5a872c」で試してみます。

結果以下のようなスナップショット情報が表示されます。

gui installed {
  create_time_usecs: 1534811599505881 ★
  group_uuid: "d74ea526-e722-4603-81c2-c18d6f6e8677"
  logical_timestamp: 1
  name: "gui installed" ★
  uuid: "5fa8aa7c-ed73-412d-978d-5f624b5a872c"
  vm_spec {
    agent_vm: False
    disk_list {
      addr {
        bus: "ide"
        index: 0
      }
      cdrom: True
      empty: True
    }
    disk_list {
      addr {
        bus: "scsi"
        index: 0
      }
      clone {
        container_id: 1062
        snapshot_group_uuid: "d74ea526-e722-4603-81c2-c18d6f6e8677"
        vmdisk_uuid: "eb9a302f-b274-489a-a44b-63ab6af2ac64"
      }
    }
    hwclock_timezone: "Asia/Tokyo"
    machine_type: "pc"
    memory_mb: 6144
    name: "Ubuntu 16.4" ★
    nic_list {
      mac_addr: "50:6b:8d:12:2f:c8"
      network_uuid: "094444f7-5f75-47b8-859c-fa349866f205"
      pci_slot: 3
      type: "kNormalNic"
      vlan_mode: "kAccess"
    }
    num_cores_per_vcpu: 2
    num_vcpus: 2
    vga_console: True
    vm_type: "kGuestVM"
  }
  vm_uuid: "be6d4b5d-21a3-45f5-8c23-331feea6aee3"
}

この仮想マシンは、「Ubuntu 16.4」という仮想マシン名称で、「gui installed」という名前のスナップショットであることが分ります。

ではいつ作成したスナップショットかというと、create_time_usecsに値が書かれていますが、これはUnix表記のためそのままでは読み取ることが出来ません。
この場合、CVMで以下のコマンドを入力し変換します。

date --date "@UNIX時間"

今回は、「1534811599505881」を変換してみたいと思います。
コマンドでは、create_time_usecsにある後ろの6桁を除いて入力を行います。
この場合では、「1534811599505881」となり、505881が入力しないエリアとなります。

$ date --date "@1534811599"
Tue Aug 21 09:33:19 JST 2018

結果このスナップショットは、2018年8月21日のスナップショットであることが分りました。



スナップショットから仮想マシンを作成する

仮にこのスナップショットが必要な物で、このスナップショットから仮想マシンを復元したい場合は、以下のコマンドを利用します。

acli vm.clone <新規仮想マシン名> clone_from_snapshot=<スナップショット名>

今回は、仮想マシンを「NewUbuntu」とし、スナップショット名は「gui installed」と入力をします。

acli vm.clone NewUbuntu clone_from_snapshot="gui installed"
NewUbuntu: pending
NewUbuntu: complete

仮想マシンの作成が完了し、当時のスナップショットの仮想マシンが起動しました




孤立したスナップショットの削除方法

現実的には、スナップショットからの復元よりも、孤立してゴミとなったスナップショットを削除したいという方が多いと思います。
削除は以下のコマンドを使って行います。

acli snapshot.delete <スナップショット名 or スナップショットUUID>

ここでは、スナップショット名「gui installed」を削除してみます。

acli snapshot.delete "gui installed"
Delete 1 snapshots? (yes/no) yes
gui installed: complete

これで削除完了です。


なお、スナップショットの一覧は、以下のコマンドから確認することも可能です。

acli snapshot.list

これを入力すると、孤立の有無に関係なく全てのスナップショットが表示されます。ただし、DataProtectionで取得したスナップショットはこちらの表示の対象外となります。


検証環境などでは、ゴミなスナップショットが放置されたままとなり、利用している容量の割りにストレージが消費しているケースがあります。この場合は、孤立したスナップショットが存在していないかを是非確認することをお勧めします。






2020年11月22日日曜日

Nutanixにおけるデーター保護のあれこれ

Nutanixが提供するHCI製品は、サーバー・ストレージを統合した仮想化基盤であることは皆さんご存じだと思います。仮想化基盤の運用において課題の1つが仮想マシンのバックアップです。仮想化により高集約にすると、物理サーバーの台数に対して仮想マシンのバックアップ対象仮想マシンが多くなり、夜間の業務時間外にバックアップが終了せず、翌朝の始業時間を迎えてしまうといったことはよく聞かれる運用の悩みです。

Nutanixにおいては、従来からDataProtectionといわれる仮想マシン保護機能がついていましたが現在ではさらに多くの機能が搭載されています。今回は、様々なシーンにおいて利用できるデーター保護機能を改めて押さえていきたいと思います。


Nutanixにおけるレプリケーションの基本

Nutanixのストレージは、ストレージブロック単位でCopy on Writeによる制御を行います。ストレージブロックでのCopy on Writeを利用したスナップショットを利用するため、稼働ディスクファイルを分割するハイパーバイザーが提供するスナップショットと異なり、高い安全性を保ったまま差分データーブロックを保持することができ、その差分データーブロックをレプリケーションすることで、効率的なレプリケーションを実現します。


Async DRによる保護(非同期)

最もシンプルなレプリケーション方法です。Nutanixの全てのエディションで利用できる機能であり、仮想マシン単位でクラスター間のレプリケーションとDRが可能です。最短のレプリケーションサイクルは1時間に1回となります。レプリケーション先のNutanixクラスターで、仮想マシンを仮想マシンを稼働させることも可能です。



SNRTへの保護(非同期)

SNRTは、Single Node Replication Targetの略で、1ノードで構成されたNutanixクラスターで、主にレプリケーション目的で利用するNutanixクラスターのことを指します。
SNRT利用時のレプリケーションサイクル(RPO)は、6時間に1回となります。
Ansyc DRの時と同様に、SNRT側で仮想マシンを稼働させることができますが、SNRTにおける稼働する仮想マシン台数は、5台程度が推奨となります。
SNRTへのレプリケーションの制限として、転送元のクラスターのストレージコンテナに重複排除が有効化されていないことが条件となります。



NearSycnによる保護(非同期)

NearSyncは、Nutanixクラスター間を最小20秒で非同期レプリケーション行う仕組みです。Async DRは最小1時間のRPOでしたが、NearSyncは15分から20秒の間でレプリケーション設定が可能であり、よりクリティカルな環境におけるDRを実現します。
NeaySyncは、マルチサイトレプリケーションに対応していますが、NearSyncでのレプリケーションは1:1となり、その他のレプリケーション先はAsyncDRになります。また、NearSyncを利用するクラスターはノード当たり1.2TB以上のSSDを搭載する必要があります。ハイパーバイザーは,AHVとESXiのみがサポートされ、クロスハイパーバイザーレプリケーションは未対応です。
RPOは、NearSyncのみの利用時は最小1分であり、MetroAvailabilityとの併用利用時にESXiで構成されたNuatnixクラスターの場合、ストレージコンテナレベルでのレプリケーションとして20秒のレプリケーションが可能です。
Async DRと同様にレプリケーションを受け取ったバックアップクラスター側で仮想マシンを起動させることが可能です。



MetroAvailabilityによる保護(同期)

Metro Availabilityは、完全な同期レプリケーションを行う方式です。完全な同期レプリケーションのため、データーの差分無くメインクラスターが何らかの障害が発生した場合、セカンダリーのクラスターでHAが発動して仮想マシンが稼働する仕組みです。Metro Availabitilityには、いくつかの制限があります。まずは、2クラスター間の回線の遅延が5msec以内である必要があります。Metro Availavilityは、ESXi及びHyper-Vクラスターをサポートします。ESXi+AHVストレージノードで構成されたクラスターはサポートされますが、Hyper-V+AHVストレージノードで構成されたクラスターはサポートされません。また、WitnessVMにおける監視は、AHVストレージノードが構成されている場合、サポートされません。



Leapによる保護

Async/Near DRによる保護は、仮想マシンのレプリケーションと簡易的なDRを実現できます。一方で仮想マシンの自動起動や起動時のシナリオなど細かい設定はAsync/NearSyncでは設定できませんでした。その課題を解決すべく、現在ではPrismCentralを介して細かなDRを構成するLeapが提供されています。Leapを利用すると、仮想マシンのフェールオーバー時の細かい設定(起動順序や待ち時間設定)、DRのテストを行うことが出来ます。
Leapにおいても、同期レプリケーション及び非同期レプリケーションがサポートされていますが、同期レプリケーションはAHVのみの対応となります。一方NearSyncベースのレプリケーションは、AHVもしくはESXiクラスターのみがサポートされます。



Leapにより、仮想マシンのDRにおいてシナリオ(RunBook)に応じてDRを実現する方法が実現できるようになりましたが、Nutanixは、vSphere Site Recovery Manager (SRM)のSRA(アダプタ)を提供していますので、vSphere ESXi環境のNutanixにおいては、SRMを利用したRunBookを備えたDR環境が構築可能であることも忘れてはいけません。

Nutanixにおけるレプリケーション/DRの構成には様々な手法があり、かつ条件が複雑化してきています。以下の表のように簡単にまとめてみましたが、その他にも様々な仕様条件がありますので、特にNearSyncやMetro、Leapを利用する場合はNutanixから提供されるドキュメントを確認の上、環境条件が揃っていることを確認する必要があります。


▼レプリケーション/DRにおける機能毎のまとめ(表をクリックすると拡大表示できます)







2020年10月11日日曜日

AOS5.18の新機能(その3):右クリックメニューの登場

 AOS5.18になって変わったのは、ストレージ機能だけではありません。UIについても一部変更が入っています。

今日は、Prismに入った改善点の「右クリックメニュー」について紹介します。

従来Prismは。全ての操作が左クリックのみの操作で、非常にシンプルを売りにしていました。一方でPrism Centralを筆頭にPrismで操作する機能が増え、操作に対してわざわざアクションボタンまでマウスポインターを移動して操作を実行すると点に煩わしいという声も出ていました。

そのため、従来のアクションボタンからのメニューは残しつつも、対象のオブジェクトを選択して、右クリックを行うとActionボタンをクリックしたときと同様のメニューを出すことが出来るようになりました。

▼Prism Centralでの右クリックメニュー


▼出てくるメニューはActionからのメニューと同じ内容となります


右クリックメニューはPrism Elementでも搭載されています。

▼Prism Elementの場合リストしたのアクションメニューと同様の物が表示されます


このため、マウスの右ボタンがないと操作出来ないと言うことはありませんので、従来通りタブレット端末からタップでの操作も可能です。


他の管理ツールにおいては右クリックというのはあって当たり前になっており、何を今更感がありますが、NutanixにおいてはPrismのシンプルさを実現するために右クリックでの操作は、Prismの登場以来搭載されていませんでした。

AOS 518になって搭載されても、右クリックしないと出来ないアクションはなく、従来の方法のまま操作することが出来るという点は押さえておくべき点だと思います。



2020年10月5日月曜日

2020年(2021年度版)Nutanix資格試験制度について

Nutanixは、7月が決算月になるため、2020年8月からFY2021(2021年度)となります。

FY2021になり、資格試験周りについても更新がありました。
今日は、新しくなった試験制度について見ていきましょう。
(正直毎年制度変わるので、これからNutanixを勉強しようという方にとっては、過去の情報との見分けを付けずにに情報を収集すると、わかりにくいことがあるかも知れません。過去のことは気にせず、2021年度は、この内容を見ておけば大丈夫です)

試験のカテゴリですが、以下のような形の分類となりました。

パートナー向け試験:
Nutanix Partner Network向けに、用意された試験として、
「NPSR Level1~3」と「NCSE-Core」の認定を受けることでより上位のパートナーランクを取得することが出来ます。パートナー制度やパートナー向けの試験制度についてはまた改めて記載したいと思います。

コンサルタント向け試験:
導入コンサルタントパートナー向けには、プロフェッショナル試験であるNCPを取得後、導入ソリューション毎に設けられた試験が用意されています。
詳細は、NPN向けかつ、サービスコンサルタント契約事業者に公開されています。

プロフェッショナル向け試験:
こちらはNutanixのパートナーにかかわらず受験することが出来る、Nutanix技術者向けの試験となります。従来NPPやNCPと言われていた技術者向けの試験はこのプロフェッショナル向け試験としてカテゴライズされます。


プロフェッショナル技術者向けの試験は、試験レベルが明確に定義されました。



試験レベルとしては、以下のようにまとめることが出来ます。
レベル難易度試験内容
EXPERT超超超難しいまず普通には難しい(かつ英語のみ)
MASTERかなり難しいNutanixの高度な知識と、
様々なユースケースや機能を熟知している
PROFESSIONAL難しいNutanixの基礎とアーキテクチャーを理解している
ASSOCIATE入門Nutanixの基本的なことを理解している

では、このレベルに合せた形の試験の名称について紹介致します。
ロゴレベル試験呼称試験正式名称
EXPERTNPXNutanix Platform Expert
MASTERNCMNutanix Certified Master
PROFESSIONALNCPNutanix Certified Professional
ASSOCIATENCANutanix Certified Associate

NPX
NPXは、Nutanixプラットフォームにおけるエンタープライズクラスのソリューション設計を提供する能力を証明します。プレゼンテーション等が試験内容に含まれるようで、その難易度はかなり難しいです。なお指名制の試験のため、希望を出せば受験が出来るという物でもありませんので、そういった面でもかなりハードルが高い試験となります。

NCM
NCMは、Nutanixにおける複雑なクラスター管理および運用が出来ることを証明します。NCMは、今までNCAPと呼ばれていた試験の後継となります。NCMにおいては、基本的なスキルの他に、ワークロードに応じたベストプラクティスやトラブルシューティングなどNutanixとその周辺の環境における内容が試験範囲となるため、単純にNutanixだけのスキルがあっても成立しないという特徴が有ります。NCMを保有していれば、Nutanixの基本的な展開に上に、アプリケーションに応じた展開方法やNutanixの高度な機能の利用方法についても知識を習得していることになります。

NCP
NCPは、Nutanixにおける基本的なスキルとアーキテクチャーを理解していることを証明出来ます。一般的なプロフェッショナル資格となり、NCPを持っていればNutanixの導入における必要な知識は習得していることになります。

NCA
NCAは、今回新たに制定された資格です。
NCAは、Nutanixの入門にあたる試験です。半年から1年程度のNutanixの利用経験がある方向けの試験となります。
本試験はまだβ版であり詳細はこれから出てきますが、Nutanixにおける基礎知識を持っていることが証明出来る試験となるようです。


また、今まではNutanixのコア機能に対しての試験となっておりましたが、今後は、各製品ソリューション向けに試験カテゴリが分かれます。

名称正式名称
MCIMulticloud Infrastructure
MCAMulticloud Automation
EUCEnd-User Computing
BCBusiness Continuity
DSData Services
SGSecurity & Governance
DBDatabase Modernization

今までのNCPやNCAPなどは、MCIのカテゴリに含まれます。
今後は、従来のNCPは、NCP-MCIに、NCAPは、NCM-MCIと言う名称になります。
今後、NCP-EUCやNCP-DSといった新しいカテゴリのNCP試験が登場するようです。
NCP-EUCは、VDIシステムを中心とした試験内容となるようです。
NCP-DSは、Files、Volumes、Objectsを使用したストレージ機能が試験内容になるようです。Nutanixのコアな機能だけでなくこういった周辺ソリューションの知識も持ち得ていることが証明出来る点は、試験の詳細化したメリットであると思います。

Nutanixの各種勉強コンテンツがまとまったサイトとして、Nutanix Universityサイトが新しくなりました。こちらからプロフェッショナル試験の受験勉強のためのコンテンツにアクセスが出来ます。また、模擬試験の受験や本番試験の予約もこちらから行えます。

試験は、従来通りPSIの試験システムを使った物で、オンライン(Webカメラによる有人監視)もしくはPSI定型の試験センターで受験することが出来ます。
試験センターの場所は以下から確認することが出来ます。

PSIテストセンター






2020年10月4日日曜日

Nutanix .NEXT の思い出

今年はワールドワイドの統合イベントとして開催された、Nutanix .NEXT。

昨今の世情を踏まえオンラインでの開催となり、アメリカの大きな会場でその臨場感を直接味わうことが出来ませんでしたが、登録すれば無料でNutanixの最新のコンテンツに触れることが出来きたのは、オンラインであるからこそのメリットだと思います。

Nutanix.NEXT 2020については、別のブログで記載をしておりますので、内容を把握したい方はこちらをご覧下さい。

今日は、来年またアメリカの地で.NEXTに参加出来ることを願い、私が過去に参加したNutanix.NEXTの思い出をお話ししたいと思います。


2017年 ワシントン

私が初めて.NEXTに参加したのは、2017年6月に開催された.NEXT Washingtonでした。この当時、Nutanixと言う名前が日本でもようやく定着し始めたところでした。日本人ツアーの参加はまだ30人程度と少ない状況でした。

2017年 ワシントンの会場




この当時はまだKeynoteの会場もだいぶ小さいことが伺えます。



2017年の.NEXTのノベルティは大事に保管しています。



特にこの年話題だったのが、おもちゃのドローンでした。かなり操作が難しいと話題になっていたのを思い出します。それを聞いて、壊れたらもったいないと思った私は一度もさわること無く箱に入れて保存していました。



会場には、あちこちに置かれていた、光るヨーヨー。これは、今となってはちょっと貴重かも。





2018年 ニューオリンズ
2回目の.NEXTは、アメリカの南に位置するニューオリンズ。日本からの移動はかなりの時間がかかり移動だけで疲れたことはまだ記憶に新しいです。(アメリカ移動は毎回辛いですが)

.NEXT ニューオリンズの会場



会場も2017年に比べて相当に大きくなり、参加人数も2016年に比べ倍近くになったことを記憶しています。まさにNutanixが強く普及してきたと感じられる年でした。



2018年のノベルティも今でも大事に(食べずに)保管しています。

ニューオリンズの有名なお菓子、BEIGNETの粉とタバスコ発祥の地と言うことで、タバスコ、そしてスマートフォンのワイヤレスイ充電器とTシャツでした。BEIGNETの粉とタバスコは、もう賞味期限が怪しいですね...。


Tシャツは、ジャズの町ということで、管楽器が描かれています。


会場では、缶バッチが配られており、お土産にと言うことで多少多く頂きました。





2019年 アナハイム
この年は、Nutanix創業10周年を迎えるとても記念すべき年でした。
この年はアナハイムで開催されました。ディズニーランドも近く周辺は凄く整備されていたことが記憶しています。

.NEXT Anaheimの会場



会場はさらに広くなり、NutanixのEnterprise Cloudが世の中に浸透してきたことを感じます。この会場が満員になっていたことに驚いたのは記憶に新しいです。



なぜか、2019年のノベルティだけが、お家の中で見つかりませんでした...。
ただ、参加特典でいただけるスピーカーだけはまだ残っておりました。



この年は、.NEXTのストアがより大きくなり沢山のグッズを販売しており、会場限定のグッズも多くありました。


ストアで買ったバスタオルとマフラーは、今でも未使用のまま大切に保管しています。


Educationセンターに行くと、NCP/NCPAホルダーにはキャップをプレゼントしていました。(特に名前とか聞かれることなく、NCAPホルダーだと伝えたらそのままキャップをくれるという、チェックの甘さというか自称NCAPでも通じてしまうところが気になったのを覚えています)


今年はオンライン参加と言うことで、ノベルティや珍しいグッズに出会うことは出来ませんでしたが、来年は無事に楽しいNutanix .NEXTを開催出来るようになることを心から願っております。

Nutanix .NEXT 2020は、オンラインで、11/10まで登録をすれば無償でコンテンツを楽しむことが出来ます。

Global .NEXT Digital Experience






2020年9月1日火曜日

AOS5.18の新機能(その2):ストレージ容量の表示改善

AOS5.18からストレージの空き容量や表示方法の変更が行われました。
今日は、新しく改善されたストレージサマリーの改善について紹介致します。


Prismのダッシュボード画面にあるストレージサマリー画面が、よりわかりやすくなりました。最も大きい点は、N+1やN+2の耐障害性を意識した際に、ダウンして良いノードの分のストレージの空き容量を保持しておく必要があります。
今までのPrismでの空き容量表示では、全体のキャパシティに対して80%や90%といった閾値をもとに黄色や赤色で表示されていましたが、実際のNutanixクラスターの構成台数によって、1ノード落ちた際にも問題なく稼動できるパーセンテージは変わってきます。

以下を例にして考えてみましょう。例えば3ノードで構成されたNutanixクラスターがあります。1ノード当たりRF2で20TBの容量を提供できるように構成されています。
この場合、Nutanixクラスターとして利用できるストレージ容量は60TBですが、1ノードの耐障害性に絶えられるためには、1ノード分を差し引く必要がありますので、以下の計算式の通り、40TBまでが利用できる容量となります。

全体ノード(3ノード:20TB×3) ー 耐障害性(1ノード:20TB×1) = 利用できる容量(40TB)

となります。この場合、ストレージ容量を割合で考えると、3ノードのクラスターなので1ノード当たりのストレージ提供容量は33.3333・・・%となります。1ノードの耐障害性に絶えるためには、3ノード中2ノードで稼動できる必要があるため、以下の計算式の通り、「100%ー(100%/3)=66.6666・・・%」となります。
すなわち、2台分まで利用可能なので66.6666・・・%までが利用が可能となります。
全体ノード数(3ノード:100%)ー耐障害性ノード(100%/全体ノード:3)=利用できるストレージ容量パーセント
つまり3ノードの場合における、ストレージの利用上限値は、この構成の場合、66%までが利用可能であり、67%を超える利用量の場合、1ノードの障害に耐えられないことになります。

▼3ノード時における1ノード障害について


一方で、これが4ノードになった場合は、上記の式に当てはめると1ノード当たり25%の割合になるため、1ノード障害時には、75%までストレージを利用することができます。

▼4ノードにおける1ノード障害について



つまり、従来までのストレージですと、90%までストレージを利用していると容量枯渇とか、80%超えたら追加を考えないとといった運用を行うことが出来ましたが、NutanixをはじめとするHCI製品は、ノード障害=ストレージの部分障害と考える必要があるため、ノード数に応じて、ストレージの何%までを使って良いかが変わってきます。
Nutanixにおいては、ストレージの空き容量がN+1に耐えられなくなった場合、Data Resiliency Statusが、Criticalに変わるため耐障害性がなくなったことを知ることが出来ますが、事前にどの容量まで使って良いかは把握しておく必要があります。
今回AOS5.18から、耐障害性を考慮した際にどこまでのストレージ容量を利用して良いかが閾値の表示が出るように改善されました。

▼Storage Summaryに閾値が表示されている


実際にPrismの画面では、StorageSummaryで、このクラスターで耐障害性(N+1)を保つために利用して良いストレージの容量はどこまでかと、閾値を基準にグラフの色が変わるように変更されました。
小さな変更点かも知れませんが、ストレージの使いすぎてしまい、ノードに障害が発生してしまった際にクラスターが一時的に停止してしまうような事故を、この機能により防ぐことが可能です。(もちろん利用者側の意識がないといけませんが)

このスクリーンショットの環境では、3ノードでN+1の構成で、ストレージの使用率は閾値に近い黄色で表示されています。この環境で1ノードを追加を行うと、両々の表示がグリーンに変わったことが分ります。4ノードにおいて1ノード障害が起きてもこの使用量であれば、問題が無いことがわかります。今までの全体容量に対する使用率%ではなく、ノード数に応じて、耐障害性を考慮した使用率表示に変わっていることがこのことから分ります。

▼同じストレージ利用率で4ノード時の表示

なおこのワーニングの設定値は、Storage Summaryのギアマークから変更することも出来ます。(これは、冗長化を加味した上での利用できる容量の75%となります)


また、View Detailsをクリックすると、実際にトータルのストレージ容量、現在利用している容量、耐障害性を考慮した際に利用できる容量をそれぞれ確認することが出来ます。



HCIにおいては従来のストレージと空き容量の考え方が考え方がすこし違うところがあります。この違いに気づきやすいようにAOS5.18のPrism空はこのように、ストレージの利用率についてわかりやすい表示で、運用におけるトラブルが発生しないように工夫がなされています。