Oracle19cになって、日本では多く採用されていたOracle Standard Edition 2(SE2)でのReal Application Clusterのサポートが廃止となりました。あわせて、Windows版でのOracleクラスター構築ではおなじみであった、Oracle Fail Safeが非推奨となりました。OFSはあくまでも非推奨であり、サポートされないわけではありませんが、今後のOracleのリリースとともにOFSは廃止される可能性があります。
では、このような状況にあってOracle SE2利用時のクラスター作成はどのようにすればよいのかというご相談をいただくことが増えてきました。
今回は、OFSからの移行先の一つである、SIOS Life Keeper for Windows版をNutanix AHV上で構成した場合の導入手順についてご紹介いたします。
AHVの場合、SCSI Direct AttachでのVolumes接続も可能ですが、今回はvSphereでの設定も考慮し、iSCSI経由での設定方法をご紹介します。
環境情報は以下の通りです。
OS | Windows Server 2019 Standard |
ドメイン構成 | ワークグループ |
Oracle Version | Oracle SE2 19.3 |
共有ディスク | Nutanix Volumes (iSCSI) |
LifeKeeper for Windows | 8.7.2-1 |
AOS | 6.0 |
構成図としては、以下の形となります。
Oracleのインスタンスの情報などは、データーベースの作成の個所でご紹介いたします。
手順としては以下の流れになります。
- Data Service IPの設定
- 仮想マシンの作成
- Windows Server 2019のインストール
- 仮想マシンのクローン
- Volume Groupの作成
- Sysprepを実行(任意)
- ホスト名の設定
- NICの設定
- メディア検出の無効化
- Distributed Link Tracking Clientの自動起動停止
- iSCSI経由でNutanix Volumesをマウント
- ストレージの設定
- LifeKeeperのインストール
- コミュニケーションパスの設定
- 仮想IPの作成
- 共有ディスクの登録
- 依存関係の作成
- Oracleユーザーの作成
- Oracleバイナリの展開・インストール
- データーベースインスタンスの作成
- セカンダリサーバーでのインスタンス作成
- 権限設定
- PDBの自動起動
- リスナー設定
- OracleサービスをLifeKeeperで保護する
- アンチアフィフィニティの設定
- サービス起動順序の制御
1.Data Service IPの設定
まずはNutanix VolumesでiSCSI接続ができるよう、「DATA SERVICE IP」の設定を行います。Prismの左上にあるクラスター名をクリックします。
ここで表示されるVirtul IPを設定します。Network Segmentation機能を利用していない場合は、CVMが設定されるIPアドレスと同じセグメントである必要があります。
2.仮想マシンの作成
では早速仮想マシンの作成から行っていきましょう。
今回は以下の構成で作成しています。Oracle Databaseは、用途によってCPUやメモリーを多く必要とする場合がありますので、必要に応じて構成を変更してください。
仮想マシンスペック
vCPU | 6 |
RAM | 12GB |
ディスク構成 | Cドライブ | 100GB | Windowsインストール場所 |
Dドライブ | 100GB | Oracle インストール場所 |
Prism上で仮想マシンを作成します。
今回は、仮想マシン名を「ORACLE19C-LK01」としています。
ドライブ構成は、Cドライブ(OS領域)とDドライブ(ORACLE_HOME領域)の2つの仮想ディスクを構成します。
さらに、CDROMドライブを2つ構成し、1つは「VIrt IO Driver」を、もう1つは、「Windows Server 2019」のISOをマウントします。
続いてNICの構成ですが、LifeKeeperは、ハートビート通信のようなクラスターの裏側ネットワークとして「コミュニケーションパス」を作成する必要があります。コミュニケーションパスは、サービス系のネットワークと共にハートビート専用に別のVLANの2つを用意します。ここでは、「SERVICE」をサービス系、「HB」をコミュニケーションパス専用のハートビートネットワーク、NutanixのVolume Groupと接続するストレージパス用に「iSCSI」のそれぞれVLANを割り当てたNICを設定します。
以上の設定が出来たら、Saveで仮想マシンを保存します。
この時点で仮想マシンの作成は1台でよいです。
3.Windows Server 2019 のインストール
Windows Server 2019 Standardをインストールします。
必要なツールも併せてインストールしておきます。
OSのインストールが終わったら、一度仮想マシンをシャットダウンします。
4.仮想マシンのクローン
続いて、仮想マシンをクローンします。
PrismのVMから「ORACLE19C-LK01」を選択し、Cloneをクリックします。
仮想マシン名は「ORACLE19C-LK02」として、クローンを行います。
仮想マシンが、01と02で2台できたことがわかります。
Nutanixですからクローンは一瞬で終わると思います。
クローンが終わったら、作成した2台の仮想マシンを起動します。
5.Volume Groupの作成
次に、Volume Groupを作成します。
PrismのStorageメニューから、VolumeGroupを作成します。
今回はボリュームグループ名を「ORACLE19C-LIFEKEEPER」と設定します。
Add New Diskから、今回共有ディスクで利用する「Oドライブ」と「Pドライブ」にあたる2つの共有ボリューム(LUN)を作成します。今回はOドライブを200GB、Pドライブを100GBで構成します。
Oドライブ
Pドライブ
2つのLUN作成が終わると、以下のように200GB、100GBの順でドライブが見えるようになります。
次に、Volume Groupに接続する仮想マシンを登録します。AHVで直結の場合は、「Attach a VM」でダイレクトにSCSIバスを使った接続が可能です。今回はiSCSIを利用した接続を行うため、Clientの登録を行います。
ここでは、iSCSIのイニシエーターのIQNの登録を行います。IQNは文字列が長いため、入力間違いをする可能性もあります。そのため、Nutanix Volumesでは、IQN以外にiSCSIで接続するIPアドレス(iSCSIイニシエーターが利用するIP)を登録することで、ストレージボリュームのアクセスを許可させることが出来ます。今回はCHAP Authentificationは、利用しませんのでこのままAddします。
続いて2台目のVMのIPアドレスを登録します。登録の際にメッセージが表示されますが、これは1つのストレージボリュームを複数の仮想マシンからアクセスする場合、クラスターソフトウェアで制御する必要がある旨のメッセージが表示されます。今回はLife keeperを利用したクラスター構成を作成するため特に問題はありません。そのまま、「Allow」をクリックします。
2つの仮想マシンのIPアドレスが登録されたら、以下のように一覧に表示されます。
iSCSIで利用するIPアドレスが登録されていることを確認し、Saveをクリックし、Volume Groupの設定を終えます。
6.Sysprepの実行(任意)
今回WorkGroupでの利用のため、必要に応じてとなりますが、「ORACLE19C-LK01」クローンして、「ORACLE19C-LK02」を作成しているため、SIDが重複した状態となっています。AD参加をしない場合そこまで気にする必要はありませんが、必要に応じてSysprepを実行してください。
下準備は出来ましたので、次は仮想マシンの設定に入っていきます。
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