2021年8月27日金曜日

AOS6.0.1からサポートされたReplication Factor 1について

先日AOS 6.0リリースの紹介をしましたが、AOS6.0.1から新たにサポートされる機能があります。それは「Replication Factor 1」です。

本来、データーの冗長性から考えてデーターを二重化(ないしは三重化)しないというのは、大事なデーターを保存する上であり得ない話しですが、逆に言うと大事ではないデーターを二重化するのは、ストレージ容量がもったいないと考えることも出来ます。極端な話し消えても問題ないデーターを保存する際に、このRF1を活用するという物です。

かといって、RF1を多用すると確実に事故が発生しますので、Nutanixでは、RF1の利用について厳しく制限が設けられております。

  • RF1コンテナは、レプリケーション係数の増加をサポートしていません。
    (RF1からRF2への変更)
  • RF1コンテナは、AHVイメージサービスで利用するISOやDISKの保存をサポートしていません。
  • RF1コンテナでは、Reserved Capacityの設定は許可されていません。
  • ホストのメンテナンス作業を行う場合、RF1の仮想マシンは停止する必要があります。(RF1の仮想マシンは、ライブマイグレーションできません)
  • AHV/ESXi環境のみをサポートします。HyperV環境はサポートされていません。
  • パフォーマンス上の理由から、SSD層の容量がクラスター容量の6%未満であるクラスターにRF1ストレージを構成することはお勧めしません。
  • RF1の仮想マシンは、スナップショットやレプリケーションはサポートされていません。
  • ESXiクラスターをAHVクラスターに変更は、サポートされません。
  • イレイジャーコーディングや重複排除は、RFストレージコンテナではサポートされません。
  • ストレージコンテナのゴミ箱機能はサポートされず削除したデーターは即座に削除されます。
  • RF1 vDiskを備えたVMは、DRおよびMetro-Clusters環境ではサポートされていません。
  • 以下のメンテナンスを行う場合、RF1の仮想マシンはシャットダウンする必要があります。
    • ワンクリックのAOSアップグレード
    • CVMのシャットダウン
    • ホストのメモリの更新
    • ESXワンクリックハイパーバイザーのアップグレード
    • ネットワークセグメンテーションワークフロー
    • ローリングリブートフレームワーク(AHVでの仮想スイッチサポートの有効化)
    • ホストブートディスクの交換

ここで重要なことは、AOSのアップグレードであっても、RF1の仮想マシンはシャットダウンしなければいけないというのは、気になる表現です。

これは、RF1のストレージコンテナは、ノード毎に作成されるという仕様に起因しています。そのため、RF1で作成した仮想マシンはノードのローカルストレージで動作している形になりますので、ライブマイグレーションが出来ないという制限事項があります。

そのため、以下のような制限が発生します。
  • ノードの削除-RF1のあるノードをクラスターから削除すると、RF1vDiskとコンテナーに削除されます
  • ノードの一部のディスクやフラッシュが故障し交換した場合、RF1の仮想マシンは削除されます。
  • ストレージ専用ノードを搭載したクラスターの場合、コンピュートノードのにのみRF1のストレージコンテナを作成できます。


Nutanixの各アプリケーションもサポート可否が明確に記載されています。

Nutanix Era / Files / Carbon /Objects  / Prism Central

RF1ストレージコンテナを領域の一部で利用することや、仮想アプライアンス自体をRF1のストレージコンテナに展開することはサポートされていません。

もはやここまで制限されると何の意味があるのかと思う気もしますが、先程記載したとおり、データーを保存する領域ではなく、データーベースのテンポラリーやAI,機械学習のデーターの学習用データーの保存場所としての活用が考えられます。


では、RF1のストレージコンテナの作成方法をご紹介します。

PrismのSettingsから「Redundancy State」を選択し、「Enable Replication Factor 1」にチェックを入れます。


RF1の制限事項が表示されますので確認してYesをクリックします。


元の画面に戻ったら「Save」ボタンをクリックし設定を終えます。

PrismのStorageメニューに進み、「+ Storage Container」をクリックします。

REPLICATION FACTORを選択し「1」を選択します。

すると、ドロップダウンリストが追加されます。このストレージコンテナをどのノードで作成するかの選択肢が追加されます。


予約は出来ないと言う制限がある一方でRESERVED CAPACITYが入力できますが、こちらは値を入れると、設定保存できません。なお、Advatized Capacityは設定可能です。
重複排除やイレイジャーコーディングは、明確に画面上にロックがかかっています。


Saveすればこれでストレージコンテナの作成は完了です。制約事項を除けば、通常のストレージコンテナ作成と何も変わりません。

では、仮想マシンを作成する際にこのRF1のストレージコンテナをどのように選択するのでしょうか?

通常通り仮想マシン画面から「+ Add New Disk」をクリックし、仮想ディスクを作成したいストレージコンテナをドロップダウンリストから一覧を表示させると、RF1のストレージコンテナは、横側にホスト名が表示されます。




AOS 6.0.1は、AOS 6.0.1.1として、8/27にリリース予定となります。

今回AOS6.0.1の環境でRF1の仮想ディスクを作成しようとしたところ、正しく作成が出来ませんでしたので、おそらくAOS6.0.1.1でここも修正されるのではないかと思います。
(本当は仮想ディスク作成後の動作もご紹介したかったのですが...)

RF1の利用は限定的ですが、テンポラリーの仮想マシンや検証用の仮想マシンですぐに削除する物であれば、RF1はリソースの削減として利用可能と思います。(とくに容量単価が高いオールフラッシュの場合は、コスト面のメリットもあります)

ただ、あくまでもデーターの冗長性がないので、データーベースなど大事なデーターを保存する場合には、くれぐれも利用しないようにしてください。









1 件のコメント:

  1. アプリ側でデータ冗長を確保するようなクラウドネイティブアプリ、Hadoopなどを想定しております!

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