2017年10月10日火曜日

Nutanix X-Rayの紹介と活用法 その3

では、早速X-Rayを実際にデプロイしたいと思いますが、その前に必要な環境をまずは押さえておきましょう。

X-Rayは、仮想アプライアンスで提供されます。
中のOSは、CentOS6.6がベースになっています。
X-Rayを利用するためには、仮想マシンが稼働する環境を用意しなければなりません。X-Rayは、qcow2とovaの2つが提供されています。そのため、AHVでも動作しますし、ESXiでも動作します。
また、VMware WorkstationやFusionなどPCで仮想マシンを稼働させる環境でも動作させることができます。つまりX-RayはNutanix上でない環境でも動作させることができます。

X-Ray稼働環境
  • ESXi5.5~
  • AHV
  • VMware Workstation / Player / Fusion
  • KVM


次に検証できる環境を確認していきましょう。
X-Rayは、Nutanixの環境をテストできることは当たり前ですが、Nutanix以外にESXiで構成された仮想化基盤もテストすることができます。

X-Rayがテストできる環境
  • Nutanix
    • AHV
    • ESXi
  • 非Nutanix
    • ESXi(vCenterが存在すること)




次にX-Rayを稼働させるネットワーク環境です。
X-RayのVAは、NIC2枚挿しの構成になっています。
eth0は、vCenter Serverなどの管理サーバーとの接続できるネットワークにeth1は、DHCPの存在させないネットワーク環境を接続し、そこに検証用の仮想マシンを大量展開し、X-RayのVAと通信します。(IPは、169.254~のIPアドレスを利用します)
そのため、テスト行うNutanixやESXi環境にあらかじめテスト用にVLANを作成しておく必要があります。

▼X-Rayを利用する際のネットワーク構成

また、X-Rayは、インターネットに接続できる環境が必要です。
そのため、インターネットの環境は事前に準備をしておきましょう。


ここまでわかったら、早速X-Rayのバイナリを入手しましょう。
X-Rayのバイナリを取得するには、まずMyNutanixのアカウントを作成する必要があります。

MyNutanix
https://my.nutanix.com/

こちらのアカウントをお持ちでない方は、まずログイン下の「+Create account」からアカウントを作成しましょう。

実際のX-Rayのバイナリは、Nutanix Communityの中にあります。
https://next.nutanix.com/t5/Nutanix-X-Ray/Download-Nutanix-X-Ray-and-Docs/m-p/21754#M6


イメージが、qcow2とOVAの2つがありますので、必要なものをダウンロードしましょう。容量は1.5GB程度ありますのでダウンロードには結構な時間がかかります。

次回は、実際にインポートして動作することろまでもっていきましょう。







2017年10月9日月曜日

Nutanix X-Rayの紹介と活用法 その2

前回はX-Rayができた背景を紹介しました。
では、X-Rayのメリットをご紹介します。

その1
X-Rayは、無料
X-Rayは、無料で提供されています。
Nutanix Communityからダウンロードできますので、だれでも試すことができます。
提供バイナリは、qcow2か、ovfで提供されていますので、仮想マシンが動作する環境があればそれだけで大丈夫です。


その2
X-Rayは、GUIで使いやすい
X-Rayは、GUIで操作できます。
また、従来のテストツールではわかりにくかった、時間軸をもとにした表示をしてくれますので、キャッシュありきの現代ストレージであってもどのタイミングでキャッシュが枯渇して動作が変わったかなどを見ることも可能です。

▼X-RayのGUI画面(サンプルで入っているパフォーマンス画面)


その3
X-Rayは、テストケースが実体のワークロードにかなり近い
X-Rayは、従来のIOパフォーマンス測定ツールと違い、特殊なパラメーターを入れるわけではなく、実体のワークロードの種類があらかじめ設定されており、そこから測定したいワークロードを選ぶだけです。難しいパラメーターをいろいろと設定することもありません。また、HCIという観点に基づいたテストツールのため、ノードを1台ダウンさせた際のパフォーマンス測定を行うシナリオなどもあります。
シナリオは以下のようなしなりが用意されています。

シナリオの種類
Database Colocation
Snapshot Impact
Rolling Upgrade
HCI Workflow
OLTP Simulator
Four CornersMicrobenchmark
Sequential Node Failure
VDI Simulator
Extended Node Failure


その4
X-Rayは、偏りがない
X-RayはNutanixが作ったものなので、Nutanixに有利なように作られているんでしょ?って思われるのは普通だと思います。
しかし、その答えはNOです。
X-Rayは、オープンソースのfio(エフアイオー)を採用しています。
fioは、オープンソースでgithubに公開されていますので、もしfioの動作が偏っていると思われるのであれば、ぜひソースコードを読んでいただければと思います。


無料で、ワークロードは現実的、GUIで使いやすくて、特定のメーカーに偏りがいのであれば、これは使うしかないですね!

次回からは、構成と導入について紹介したいと思います。




2017年10月8日日曜日

Nutanixにかんするウワサを検証その3

Nutanixを拡販していると、こんなウワサ話を聞いたけどホントですか?などの聞かれることがしばしばあります。
これは、Nutanixの情報がまだまだ少ないことも影響しているようですが、正しくない情報がそのまま流れ続けることは、フェアではないと思います。
今回は、Nutanixに対するウワサの第3弾と記載します。


ウワサ1
Nutanixは、台湾メーカーの製品で故障しやすい。

真相
ウソ

これは、前回のウワサ2でも書きましたが、壊れるか壊れにくいかは、個人の判断によるところもでありますので、何とも言いにくいところがありますが、この噂の中で明確な嘘が1点入っています。
それは、「台湾メーカー」という表現です。
Nutanix純正のNXシリーズは、スーパーマイクロ製のハードウェアを利用しています。
スーパーマイクロは"アメリカ"の会社です。

(参考)スーパーマイクロの紹介(wikipedia)
https://ja.wikipedia.org/wiki/Supermicro

スーパーマイクロは、Nutanix以外でも様々なメーカーにOEM/ODMでハードを提供したり、レンタルサーバー事業者など大量のサーバーを必要とする会社で多く使われている大変実績のあるハードウェアであることをまずは理解しておく必要があります。


ウワサ2
Nutanixは、SSDに相当な負荷をかけているのでSSDが短時間で故障する

真相
ウソ

これもまたウソな話ですね。
そもそもHCI製品はどこのハードウェアもSSDの高速なパフォーマンスとHDDの容量コストをうまく使っています。そのため、どのハードウェアにおいてもSSDをフル活用するのは間違いありません。
ここで出てくるのは、Nutanixが採用しているSSDは、耐久性の高いSLCのモデルを採用しています。そのため、壊れにくいパーツを採用していることはきちんと押さえておく必要があります。
一般的に考えても、SSDよりもHDDのほうが壊れやすいことは容易に想像できます。


ウワサ3
Nutanixは、内部構造が複雑で障害が発生すると復旧まで時間を要する

真相
ウソ

Nutanixはソフトウェアですので、ソフトウェア内部プロセスとしては様々なプロセスが動作していることは事実です。
しかし、これらのプロセスに動作異常が発生した場合、Prism側できちんと何が悪いかのエラーがきちんと表示されます。
Nutanixには、優秀な保守エンジニアがそろっていることは前回のウワサ2で紹介した通りです。
従来のサーバー故障の感覚から行くと、サーバー機の不調があった場合、まずサポートセンターに電話をしてコールセンターの方に症状を伝えて、とりあえず保守員に現地に来てもらうという対応をしていただいたこともあります。
保守員は、あーでもないこうでーもないと電話でサポートエンジニアと会話しながら切り分けをするケースはよく見る光景です。
一方で、Nutanixは、ハードウェアは、極限までシンプルにしていますので、まずハードの故障は保守員が直行してあーでもないこーでもないといった切り分けをする必要が全く必要ありません。では、ソフトウェア面での切り分けはというと、NCC(Nutanix Cluster Check)といわれるNutanixを全体にわたってチェックする総合ツールがあります。これは、単純に言えばshow tech-supportみたいなもので、全体の情報をチェックしてクラスター全体の情報を収集します、これを見ることで原因個所をすぐに突き止めることができます。また、Nutanixには、WebEXを使ったリモートサポートがありますので、電話して保守員が来るまでの時間を待つよりも、障害があればすぐに、Nutanixのサポートエンジニアが直接そのNutanixクラスターを遠隔で操作し調査をしますので、従来よりもより高速かつ適切に、短時間で問題を解決できます。


ウワサ4
Nutanixは、ハードウェアとソフトウェアで保守がわかれる

真相
一部ホント、一部ウソ

まず、Nutanix純正を購入し、AHVを利用した場合、このウワサは明確にウソになります。それは、NutanixのハードウェアもAHVもNutanix自身がサポートをしてくれるからです。
では、Nutanix純正を購入し、ESXiを利用した場合どうなるかというと、Nutanixに関するソフトウェア・ハードウェアはNutanixが保守を行い、ESXiの問題はVMwareが保守を行うことになります。
じゃあ、保守は2つの窓口に分かれることになるのですね?と聞かれれば、答えはYesです。保守窓口が2つに分かれると、どちらに聞いてよいのかわからないということと、双方で回答が異なるなどが、不安要素になるかと思います。
そこでNutanixは、Nutanix上で稼働しているもので、Nutanixがハイパーバイザーかの切り分けができない場合は、"Nutanixにまず問い合わせてください"というポリシーがあります。Nutanix側で切り分けとどちらが悪いかの判断、明確にハイパーバイザー側の問題であれば、ハイパーバイザーメーカーへの問い合わせ方法について指南してくれます。
どうしても保守窓口は一本化したいという希望がある場合は、DellEMCのXCシリーズ、Lenovo社のHXシリーズを利用することで、ハイパーバイザーとハードウェア、さらにNutanixの内容までを一括で保守受けしてもらえますので、このような心配は、必要なくなります。


ウワサ5
Nutanixの、重複排除・圧縮機能は使い物にならない

真相
ウソ

これも何が根拠で出てきているのかが全く謎です。
まず、重複排除機能ですが、Nutanixのキャッシュエリアに相当する部分の重複排除機能であるインライン重複排除機能と実際の保存領域の重複排除を行うポストプロセス圧縮の2つがあります。ポストプロセス重複排除機能があります。
この2段階のプロセスを経て、負荷をかけずに重複したデーターをきちんと排除し、容量の削減に寄与します。
重複排除による、重複データー分の要領削減はもちろん行われます。
圧縮機能も、インライン圧縮と、ポストプロセス圧縮の2つの圧縮機能があり、2段階での圧縮を行い高い圧縮率でデーターを保存していきます。
重複排除や圧縮機能は、ストレージコンテナ(Datastore)単位で行うことが可能ですので、複数のストレージコンテナを作成し、用途に合わせて利用することも可能です。

Nutanixは、圧縮機能を利用することを強く推奨しています。
これは、重複排除は保存されるデーターによりどれぐらいの容量が節約できるのかが異なり、サイジングしづらいという問題があります。一方で圧縮は、非圧縮ファイルであれば一定の圧縮がかけられるのは明確で、重複排除に比べてサイジングしやすいというメリットがあります。そのため、圧縮機能を積極的に利用することを推奨していますし、合わせて重複排除機能を利用してさらに容量の削減を行うことは、Nutanixでも普通にできることであり、利用してなにも問題はありません。

▼重複排除・圧縮の設定



さて今回も5つのウワサを紹介しました。
Nutanixは、知名度が上がっていく一方でまだまだ、一般的に情報がいきわたっていない側面もあり、正しくない情報が出回ることもありますが、是非正しい情報に触れていただきたいと思います。




Nutanix X-Rayの紹介と活用法 その1

今回から数回にわたって、Nutanixから提供されているX-Rayについてお話をしていきます。

まず、Nutanix X-Rayはなにかというと、端的な回答をすると「ベンチマークソフト」ということになります。

なぜ、Nutanixがベンチマークソフトウェアを今更出すのかと思われる方もいるかもしれませんが、それには事情があります。

理由その1
キャッシュありき時代のストレージパフォーマンスは測りづらい
ストレージのパフォーマンスは、従来ディスクの本数でIOPSを稼ぐといった手法で速度を上げていました。この時のパフォーマンスを図る際によく利用されていたのがIOMatereでした。
IOMaterは、ディスクパフォーマンスを様々なパラメーター値をもとに計測するとても便利なツールです。しかし、キャッシュなき時代の考え方ですので、キャッシュが効いていると本来のパフォーマンスかどうかが判断できなくなります。

理由その2
実態のワークロードと異なるテストは意味がない
IOMaterは、ランダムライトやシーケンシャルリードなど、様々なIOをシミュレートした動作をしてくれますが、DBでの利用とVDIでの利用では、IOの種類はばらばらであり、ストレージのキャッシュの使われ方も異なります。
キャッシュありきのストレージ時代に、一方的なシナリオだけでパフォーマンスを図っても、それが実体のワークロードと異なっていればそのパフォーマンス値は意味がない元となります。

理由その3
IOテストツールは難しい
IOMaterは、GUIが提供されているので、まだわかりやすいほうですが、世の中で提供されているIOテストツールはCUIしか提供されていないものも多くあります。
また、複雑なパラメーターをもとに、実態のワークロードに近いIOをシミュレートさせようとしますが、そのパラメーターの設定は、経験値がないと設定は難しく、まさにストレージ屋さんの勘と経験が必要になってきます。

この3つの理由から、もっと実態に即したパフォーマンス値を手軽に検証することができないかということから出てきたのが、X-Rayとなります。

次回はX-Rayのメリットを紹介します。