2018年5月26日土曜日

Redundancy FactorとReplication Factorの考え方

Nutanixを導入するにあたって、考えなければいけないことは、どこまでの障害を許容範囲とするかです。
これは、Nutanixに限らず、様々なHCIメーカーでも同様のことが言え、もっというと仮想化基盤の導入における基本の設計事項でもあります。

Nutanixにおいて、障害に対する考えか方は、2つあり、この2つをどう使うかというのをNutanix導入時にあらかじめ設計しておく必要があります。

では具体的にその2つを見ていきましょう。

Redundancy Factor

リダンダンシーファクターとは、 Nutanixのノードが何台落ちても稼働し続けるかという設定です。通常の仮想化環境の場合HAを構成する際にフェールオーバーホストを1台に設定することが多いかと思いますが、これは1ホストの障害までを許容する(1ホストダウンしても仮想化環境は動き続ける)という設定になります。
Nutanixにおいては、ホストのことをノードと呼びます。上記の1ホストの障害までを許容する場合、Nutanixの場合、「Redundancy Factor 2」 という設定を行います。
2ノードまでの障害を許容する(2ホストまで障害でダウンしても仮想化環境は動き続ける)場合は、「Redundancy Factor 3」を設定します。
従来Nutanixでは、Redundancy FactorはFoundationという初期設定時のみ設定が可能でその後の変更ができませんでしたが、AOS5になってNutanixクラスターが稼働後にも変更ができるようになっています。(ただし、Redundancy Factor 3からRedundancy Factor 2へ障害許容範囲を小さくすることはできません)
Redundancy Factor3を利用する場合、Nutanixのノードは最低5ノード必要となります。また、NutanixライセンスがPro以上が必要となります。またCVMのメモリーは24GB以上を設定する必要があります。

Redundancy Factorのイメージ

Redundancy Factorの操作は、Prismから簡単に変更可能

 現在の設定状態の確認と変更が可能


Redundancy Factorのまとめ
Redundancy
Factor
ノード障害
対応数
必要
ノード数
Nutanix
ライセンス
CVM
メモリ
稼働後
変更
213〜Starter以上20GB〜2→3 OK
325〜Pro以上24GB〜3→2 NG


Replication Factor (RF)

レプリケーションファクターとは、Nutanix上で扱うデーターの冗長数を表します。
ドキュメントやPrism上の表現上では、「RF」と略称で掲載されることが多々あります。
Nutanixは、古来のデーター冗長化であるRAIDアーキテクチャーを採用していません。
データーの2重化(2面コピー)、3重化(3面コピー)によるデーターの保全機能を提供します。Nutanixは、ノードをまたいでデーターをコピーするため、特定のノードに障害が発生しても、冗長化されたデーターが複数同じタイミングでロストすることはありません。
「Replication Factor 2」は、データーの2重書込、「Replication Factor 3」は、データーの3重書き込みを行います。Replication Factor 3は、Redundancy Factor 3のNutanix環境のみ利用できます。(ということは、最低5ノードかつProライセンスが必要ということになります)
Replication FactorもAOS5.5現在、稼働後のRF2からRF3、RF3からRF2への変更がオンラインのまま設定変更することができます。
ただし、設定変更はPrism画面からではなく、ncliコマンドで実行する必要があります。
 なお、Nutanixを構築すると標準で作成される、ストレージコンテナ「NutanixManagementShare」は、RF2からRF3に変更することはできません・。

Replication Factorのイメージ

ncliを利用したRF2からRF3への変更

コンテナの一覧を表示させる
ncli> ctr list

コンテナのIDを取得
    Id                        : 00056a69-c1d8-fe67-0000-000000014005::1190
    Uuid                      : e4db671a-6bff-4324-ab88-a33a677ccdda
    Name                      : DEFAULT-CONTAINER
    Storage Pool Id           : 00056a69-c1d8-fe67-0000-000000014005::9
    Storage Pool Uuid         : 770e9c54-2722-40da-83d1-d013ef5c6b30
    Free Space (Logical)      : 5.06 TiB (5,566,102,449,437 bytes)
    Used Space (Logical)      : 335.66 GiB (360,412,356,608 bytes)
    Allowed Max Capacity      : 5.39 TiB (5,926,514,806,045 bytes)
    Used by other Containers  : 165.55 GiB (177,757,927,424 bytes)
    Explicit Reservation      : 0 bytes
    Thick Provisioned         : 0 bytes
    Replication Factor        : 2  ←現在のRF設定がわかる
    Oplog Replication Factor  : 2
    NFS Whitelist Inherited   : false
    Container NFS Whitelist   : 192.168.38.139/255.255.255.0
    VStore Name(s)            : DEFAULT-CONTAINER
    Random I/O Pri Order      : SSD-PCIe, SSD-SATA, DAS-SATA
    Sequential I/O Pri Order  : SSD-PCIe, SSD-SATA, DAS-SATA
    Compression               : off
    Fingerprint On Write      : off
    On-Disk Dedup             : none
    Erasure Code              : off
    Software Encryption       : off
The containers listed below are storage containers

RFの設定変更は、変更したいストレージコンテナのID(::より後ろの番号)を入力する
以下はRF3に変更したい場合の例
ncli> ctr edit rf=3 id=1190
※RF3からRF2に変えたい場合は、コマンドパラメーターをrf=2に変更すれば良い

Replication Factorのまとめ
Replication
Factor
Redundancy
Fuctor
必要
ノード数
Nutanix
ライセンス
稼働後の変更
22 or 33Starter以上RF2 → RF3 OK
335Pro以上RF3 → RF2 OK


Redundancy FactorとReplication Factorのマトリックス

Redundancy FactorReplication Factor設定可否
22
23×
32
33


Redundancy FactorとReplication Factorは混同しやすいですが、冗長化の見ている観点が異なりますので注意が必要です。

Redundancy Factor3であっても、Replication Factor2を利用することができます。Replication Factor 3は、単純に計算をするとデーターを3重書込するぶん必要容量も3倍になる関係から、最もクリティカルな仮想マシンはRF3のストレージコンテナにし、一般的な保護レベルであればRF2で業務上何も問題はありません。容量の効率化と可用性のバランスを勘案した構成を組むことができるのはNutanixのポイントです。







2018年5月22日火曜日

いろんなアクロポリスの名称を確認

Nutanixというと「アクロポリス」というキーワードがよく出てきます。
Nutanixおいてアクロポリスというキーワードは非常に重要ですが、時にアクロポリスというキーワードの誤った使い方を耳にすることがあります。
今日はNutanixにあるたくさんのアクロポリスをひもといて、是非ただしいアクロポリスというキーワードを知ってほしいと思います。

AOS (Acropolis OS)
CVMの中で稼働するOSのこと。Prismなどの画面サービスもそうですが、ハイパーバイザーへのストレージサービスなどの機能を提供する。
アクロポリスというと、一般的にAOSを指すことが多い。なお、AOSは、ハイパーバイザーの種類に関係なくNutanix上で提供される。

AHV(旧Acroplis Hyper Visor)
昔はアクロポリスハイパーバイザーといっていましたが、今はAHVが正式名称です。
Nutanixが提供するハイパーバイザーの製品です。KVMがベースとはなっておりますが、Enterpriseで必要な機能が各種拡張されており、企業のシステム基盤で利用するになにも心配のすることのないハイパーバイザーとして完成度が非常に高まっている。
よく、AHVで稼働させることをアクロポリスで稼働させるという表現を聞きますが、これは間違いです。正しくはAHVで稼働させるとなります。

ABS(Acropolis Block Services)
Nutanixが提供する、iSCSIベースのブロックストレージサービス。
Nutanix上で稼働する仮想マシンに対して提供する場合は、Starterライセンスで良いが、Nutanixの外に設置した物理サーバー等からiSCSIでマウントする場合には、Proライセンスが必要。スナップショットの取得や、取得したスナップショットの別の仮想マシンへのマウントなど、エンタープライズストレージが持つ機能を保有している。

AFS(Acroplis File Services)
Nutanix上で稼働するファイルサーバーサービス。AFS2.XまではCIFSのみだったが、AFS3.0からNFS4.1にも対応した。
Windows上立てるファイルサーバーと違い、Nutanixの良さである必要に応じて無停止での拡張ができることと、NASヘッドが最大16台のVAで分散処理されるため大変高速な処理が行える、尚、VSS機能はABE機能など、ファイルサーバーとしての機能も大変充実している。

ACS(Acroplis Container Services)
Nutanix上でDockerコンテナを操作する製品。ACS1.0は残念ながら終息した。

5つのアクロポリスについて説明をしました。
アクロポリスという名称で説明をするとどれを指しているのかがわかりにくくなりますので、是非略称を覚えていただき、AOSやAHVなど正しい名前で呼んであげてください。