2021年9月23日木曜日

2021年Nutanix .NEXT KeyNote Day2 まとめ

Nutanix .NEXTも佳境の2日目になりました。

今日は最近リリースされたNutanixの機能やこれからのNutanixの進化が見える情報が盛りだくさんの日です。

2日目のOpening Keynoteの発表内容をダイジェストにまとめました。


まずは、AOS6の改めての発表です。
STSとしてAOS6がリリースされ、多くの機能が追加されています。
AHVの利用率は53%を超えたようです。昨年より5%利用率が増えているとの発表もあり、AHVの利用率はさらに伸びていることが分ります。
AOS6.0.1からGAになった、Advanced Networking機能も紹介されました。
VPCを作成し、VLAN上にOverlayネットワークを構築することが出来ます。昨年の.NEXTで発表があった機能が今年GAとなりました。
DR周りのアップデートも紹介されました。DRダッシュボードの登場で、レプリケーションの状態を確認が出来ます。
またレプリケーショントラフィックの暗号化もリリースされるようです。
Prism Centralで、Nutanix以外のクラスターを管理出来るようになりました。
また、オペレーションとして、Terraform、Ansible、PowerShellでの制御が可能となりました。
自動化がより身近になる昨今、いろいろな自動化の方法が選択できるのは選択の地涌であるNutanixの良い面が出ているように感じます。
Nutanixが実現する、Zero Trustの話しも出てきました。
FlowとFlow Security Centralで、ワークロードのパッチ適用状態を把握。ランサムウェア感染等を検出すると、Flowの分散ファイアーウォールでブロックします。
ファイルサーバーは、Filesの機能で4000種類のランサムウェアのシグネチャーを元に、検出・ブロックが出来ます。
Flowセキュリティセントラルを利用した実際のデモも行われていました。


Filesのランサムウェア対策は、新たに登場した「Nutanix Data Lens」がその役割を担うようです。
画面を見ると「File Analytics」の画面にそっくりなことから、おそらくFile Analyticsのが名前が変わるのでは無いかと思います。

Nutanix Data Lensでは、Objectsも管理対象となり、画面も新しくなるようです。
ストレージやハードウェア周りのアップデートも発表されました。

I/Oパフォーマンスについては、DataSharding(水平分割)でパフォーマンスがさらに上がるようです。

また、Optainに対応や、IceLakeプラットフォトームも順次対応していきます。
NXモデルはG8として、HPEは、ProLiant DX Gen10 Plusとして、IceLakeモデルが順次リリースされていきます。


AOS6.0.1から、RF1がサポートされるようになりました。
これは、Hadoopなど、既にアプリケーションレベルでデーターを冗長化している場合、RF2のストレージコンテナを利用することで、データーの再冗長化が行われパフォーマンスと容量が無駄になることを防ぐことが出来ます。

RF1の動作は、こちらを御確認ください。
FilesやObjectsで保存されたCold DataをクラウドTierに保存し一元的に管理を出来るCloud Tier機能が改めて出てきています。
この機能はFilesでは2年前からロードマップに出てきていた機能であり、そろそろGAになる(やっと?)と思われます。
FilesのDR機能である、SmartDRの機能拡張も発表されました。
1分のRPOやNearZeroでのレプリケーションも出来るようになるようです。
また、リモートサイトのデーターを元にSelf Service Restoreを介したファイルリストアが可能になるようです。



Nutanix Eraも2.3がリリースされ、データーベースの展開・管理が便利になる旨の説明がありました。

Nutanix Eraの発表から3年が経ち、いよいよ実用的なフェーズに入ったことが伺えます。


Eraのデモも行われていましたが、Eraの画面もリリースされているバージョンと異なり機能が進化しているように思えます。
Nutanixが考える、ハイブリッドクラウドでの利用シーンが紹介されていました。
DRはもちろんのこと、一時的に必要なリソースが足りない際に利用することなども想定されています。
DR用途において、Nutanix Clusters on AWSを利用した、より高度なDRが可能となりました。それがElastic DRです。
これは、DRが必要になると、X-Playを利用し、自動でClusertsを展開し、必要に応じてClustersのノード数を増減できるという機能です。

DR環境を手動で構築することなく、コスト面でもメリットが生まれます。
また、Nutanix Clusters(当初はXi Clusters)発表当初から紹介されていた、展開したNutanix Clusters環境をS3へのレジュームが出来るHibernate機能も正式にGAとなりました。(正式リリースまで時間かかりましたね。。)
Nutanix Clusters on AWSに続き、昨日発表があったように、Nutanix Clusters on Azureもプレビューとなりました。もう数ヶ月するとGAになるのではないかと想像できます。
Nutanix Clusters on AWSに続き、昨日発表があったように、Nutanix Clusters on Azureもプレビューとなりました。もう数ヶ月するとGAになるのではないかと想像できます。
NutanixとRedHatの強いパートナーシップの連携の話しも改めて発表がありました。
新しいモダンアプリケーションの統合管理を実現するOpenShiftのプラットフォームとしてNutanixが選択できることは、インフラ面そしてアプリケーション面において、メリットがあることに違いはありません。
昨年の.NEXTで発表があった、Azure Arcへの対応も発表がされております。こちらはおそらく、Nutanix Clusters on Azureと同じ時期にGAされそうな気がします。
NutanixといえばAHVというような凝り固まった平成時代な古い考えでは時代遅れです。
Nutanixは、どんなハイパーバイザー・パブリッククラウドであっても、そしてどんなワークロードプラットフォームでも最適な環境そして連携を提供できるメリットがあります。
Nutanixは、PrismCentralでマルチプラットフォームをAIを使って管理でき、コスト管理を行うことも出来ます。
また、Calmを使ってマルチプラットフォームでワークロードの自動展開が可能となります。

今回のキーワードのまとめです。

  • HCIイノベーション
    • 仮想ネットワーク(Advanced Networking)
    • DR機能の進化(ElasticDRやSmartDRなど)
    • ゼロトラストセキュリティの実装
    • Files/ObjectsのCloud Tieringの実装
    • Nutanix Data Lensによる高度な管理
  • データーベース サービス
    • 1クリックで様々な条件でのDBを展開
    • RBAC,HAなどエンタープライズでの要求をサポート
    • DBパフォーマンスを2倍にアップ
  • クラウドイノベーション
    • NutanixからAWSへのリソース拡張
    • ElasticDRによるインテリジェントなDR
    • Clusters on Azureがまもなく提供開始
    • Clamによるクラウドネイティブなエコシステム(Calm as a Service)



今回の.NEXT 2021を見るに、マルチハイブリッドクラウドというキーワードが幾度となく出てきました。
ユーザーもマルチクラウド・ハイブリッドクラウドを求めていることを示していましたが、なによりNutanixが、マルチハイブリッドクラウド時代における、モダンなITシステムの形を提案そして提供できるようになったと感じる2日間でした。

オンプレミス基盤というと手のかかる古来のIT基盤というイメージがありましたが、そういった思想ではなく、オンプレミスであってもパブリッククラウドライクな利便性を提供するという従来からのNutanixのスタンスと理想はより進化し現実化しているように感じました。また、オンプレミスでは成しえない、短い時間で世界中のITリソースを利用できるパブリッククラウドをどう活用するかがキーになっている時代に、Nutanixは、オンプレミスとパブリッククラウドの親和性だけではなく、オンプレミスとパブリッククラウドの融合という形で、統合的な管理やリソースの活用ができ、ワークロードの場所を気にしない統合的なITプラットフォームを提供する準備が出来たことを表しているように感じました。




2021年9月22日水曜日

2021年Nutanix .NEXT KeyNote Day1 まとめ

今年も1年1回のNutanix最大のイベント、Nutanix .NEXTがはじまりました。
今年も昨年同様全面のオンラインとなりました。

日本では、10/7に日本人向けに「Nutanix .NEXT JAPAN」が開催されますので、日本語で提供される詳細な情報は、こちらに参加して頂くのが良いと思いますが、まずはワールドワイドで開催される.NEXTの情報を、個人的な視点ですが、簡単にまとめておきたいと思います。


まずは、CEOであるRAJIVより、Nutanixにおける近況の話がありました。
RAJIVは、2020年末にNutanixのCEOに着任したことから今年が初めてのNutanix .NEXTの参加となります。     
ここでは、日本の自動車メーカーであるトヨタ自動車が、3DCAD VDIをNutanix上で稼動させ、3Dモデル情報などを世界中で簡単にシェアができるようになったとの発表がありました。
2023年には、半分のワークロードがパブリックラウドに移行し、2024年には、より多くのワークロードがパブリッククラウドで動作するだろうと話がありました。2024年、それはもうすぐそこの話しですね。
その一方で、パブリッククラウドに支払うマージン費用は、年間で1000万ドルに上るという紹介がありました。
全てをパブリッククラウドに持っていくことは、コスト面で得策ではないが、パブリッククラウドのメリットを利用することも大事であり、マルチクラウド・ハイブリッドクラウドが重要である。
Nutanixは、マルチクラウドプラットフォームを提供し、ユーザーの管理を楽にさせることがミッションであると伝えられていました。
クラウドプラットフォームの管理には、運用の自動化、セキュリティガバナンスの監視などが求められます。
ハイブリッドクラウドには、DRやデーターの階層化(Cold/Hotデーター)などの利用があります。
これらをシンプルなプラットフォームをNutanixは、提供していくそうです。
この1枚のスライドに、AHVがRedHatの認定ハイパーバイザーになったことや、LeapのDRダッシュボードがリリースされたことなど、EraによるDB展開機能で大幅にDBの構築作業が効率化できるようになったなどの説明がありました。(かなり盛りだくさんでした)

また新しいデーターガバナンスサービスとして、「Nutanix Data Lens」が発表されました。
ユーザーのデーターのセキュリティとコンプライアンスを管理するハイブリッド/マルチクラウド向けのアクセス制御を提供するそうです。
マルチクラウドの管理として、画面のデモが行われておりました。
このシステムの名前が出てこなかったのですが、昨年発表されたNutanix Centralの画面ではないかと思います。
またマーケットプレイス経由でOpenShiftが簡単に展開できる説明も行われました。
これはおそらく、Nutanix Clustersの上に展開している物と思われます。
RedHatからは、MARCO BILL-PETER氏が、コンテナプラットフォームとしてNutanixを利用できることの重要性を解説していました。
ストレージやハイパーバイザーなど、OpenShiftを稼動させるプラットフォームが1つで全て揃うことのシンプルさであり、今後も共同のロードマップを用意するという説明もありました。
もう一つ大きな発表としては、Nutanix Clusters on Azureの発表です。昨年の.NEXTから発表がなされておりましたが、Test Driveにon Azureの体験が出来るようになりました。
https://www.nutanix.com/azure
最後に、CitrixとNutanixのより深いビジネスの協業についての説明がありました。
プレスリリースにも記載されています。
NutanixがFrameを買収し、VDIソリューションとしてはFrameがファーストチョイスと思われてしまっている側面もありますが、Citrix+AHVの強みも生かし、クラウドライクなFrameとトラディショナルな企業の柔軟な要望に応えられるCitrixを選択できるようになる(今までも選択できましたが)ということです。こちらは改めてのメッセージとなるかと思います。


本日はDay1ということもあり、全体的なお話しが多く技術的な細かい話しまでは、ありませんでしたが既にNutanix Data Lensという気になるキーワードも出てきました。

明日のDay2が楽しみです。





2021年9月14日火曜日

Rocky Linux 8.4にNGTをインストールする方法

CentOSの運営方針が変わり、今後のLinuxディストリビューションをどれを使うか悩んでいる方もいらっしゃることかと思います。

2021年9月現在、RedHat Enterprise Linux(RHEL)互換として、いくつかのディストリビューションが既にリリースされています。

NutanixでAHV環境においては、AlmaLinux 8.3及びRocky Linux8.4をそれぞれ、AOS 5.10以降でサポートしています。

▼Rocky LinuxのCompatibility List


元々RHEL互換ですから、RHELをサポートしているAHVとしてはある意味当然の話ではありますが...。

さて、コンパチは通っている新生RHEL互換OSですが、Nutanix上でNGTをインストーすると失敗してしまいます。

python3 /run/media/$USER/NUTANIX_TOOLS/installer/linux/install_ngt.py

Platform type is: x86_64

Unsupported distribution : rocky linux

ERROR: Failed to install Nutanix Guest Tools. Check /tmp/ngt_install_log_20210913232117.txt  for logs.

このような形で、Rocky LinuxはサポートされていないとエラーになってしまうNGTをインストールすることが出来ません。

どうやら、RockyLinuxをNGTが知らないことで起きているようです。

今回はこの問題を解消し、NGTをインストールする方法をお伝えします。

まず、既存のISOに入っているファイルに変更を加えるため、ISOの中身の一部を、ホームディレクトリにコピーします。

mkdir -p /home/$USER/ngt/installer
cp -rf /run/media/$USER/NUTANIX_TOOLS/config /home/$USER/ngt
cp -rf /run/media/$USER/NUTANIX_TOOLS/config/installer/config /home/$USER/ngt/installer
cp -rf /run/media/$USER/NUTANIX_TOOLS/config/installer/linux /home/$USER/ngt/installer


続いて、コピーしたファイル「/home/$USER/ngt/installer/linux/src/installer_factory.py」のファイルを書き換えます。

33行目付近を以下のように書き換えます。

  distribution = distro.linux_distribution()[0].lower()
  if ("centos" in distribution or
      "oracle linux server" in distribution or
     
"rocky linux" in distribution or  #★この行を追加する
      "redhatenterpriseserver" in distribution or
      "red hat" in distribution):
    # CentOS and Oracle Linux derive from the Red Hat Enterprise Linux
    # and hence the same installer works for them. For Oracle Linux, the

保存した上で、コピーして編集したNGTバイナリをインストールします。

cd /home/$USER/ngt/installer/linux
python3 install_ngt.py

数分時間がかかりますが、以下のようにインストーラーが実行され無事にインストールが終了します。

[root@rklnx linux]# python3 /home/$USER/ngt/installer/linux/install_ngt.py
Platform type is: x86_64
Using Linux Installer for rocky linux linux distribution.
Setting up folders...
Installing NGT Guest Agent...
Setting up Nutanix Guest Tools - VM mobility drivers.
Successfully set up Nutanix Guest Tools - VM mobility drivers.
Installing Nutanix Guest Agent Service.
Successfully installed Nutanix Guest Agent Service.
Installing Nutanix Self Service Restore Service.
Successfully installed Nutanix Self Service Restore Service.
Creating desktop shortcuts...
Cleaning up temporary files...
Waiting for Nutanix Guest Agent Service to start...
Waiting for Nutanix Self Service Restore Service to start...
Nutanix Guest Agent Service successfully started in the background.
Nutanix Self Service Restore Service successfully started in the background.
[root@rklnx linux]# 


GUIを起動するときちんと、SSRのアイコンも出来ています。


最後に、ncliからNGTのステータスが正常化も確認しておきましょう。

ncli

<ncli> ngt list vm-names=RockyLinuxVM

    VM Id                     : 00056d28-59d3-7bbc-0000-000000014005::c8a9e9d2-c47e-4772-9947-4505b4287078
    VM Name                   : RockyLinuxVM
    NGT Enabled               : true
    Tools ISO Mounted         : false
    Vss Snapshot              : true
    File Level Restore        : false
    Communication Link Active : true ★

<ncli> 


きちんとNGTエージェントがCVMと疎通できていることが分かります。

Rocky Linuxは、RedHat Enterprise Linuxの互換OSですので、CentOSやOracle Linuxと同様のバイナリにてNGTは正常にインストールできます。

今後新しいRHEL互換OSを利用する場合は、この方法を試してみてください。