Nutanixの総合的なコンポーネント管理ツールである、LCM(Life cycle Manager)機能は、Ver2系のリリースから2年以上経ち、サポートされるプラットフォームやコンポーネントも増えてきました。今回は、2021年現在のLCMについて改めてご紹介いたします。
Q.LCMとはなんですか?
LCMは、Life Cycle Managerの略で、Nutanix AOSに搭載されている、統合的なコンポーネント管理システムです。具体的には、AOSやハイパーバイザー、HBAやBIOS/BMCのファームウェアなどを管理し、NCCと連携した形で、脆弱性やバグフィックスされたファームウェアの提示と各種ファームウェアのアップデートを司る機能です。
Q.LCMをサポートするハードウェアプラットフォームは?
LCMは、Nutanixが稼動する全てのプラットフォームへの対応を目指していますが、2021年現在では、以下のハードウェアプラットフォームがサポートされています。
- Nutanix NXモデル
- HPE DX(及びDL G10)モデル
- DELL XC/XC Core
- Fujitsu PRIMERGY XF
- Inspur InMerge
- Lenovo HX / HX Certify Node
現行では、日本メーカーでのLCM対応はまだ低い状況にあります。
Q.Nutanixクラスターがインターネットに繋がらない環境で利用している場合は、どうすれば良いですか?
以前にダークサイトでのLCM利用時には、別途Webサーバーを立ててそこにLCMのバイナリを配置し、NutanixのLCMで設置したWebサーバーをサイン証する方法をお伝えしました。
2021年現在もこの仕様に変わりはありません。
Q.LCMは、LACP環境をサポートしていますか?
Foundation 4.5.1以降をNutanixクラスターに搭載してる環境にてサポートされています。
LCM 2.3以上とFoundation 4.5.1以上の組み合わせでの環境は推奨とされています。
Q.NutanixクラスターをvSphere Standardまたは、Essentiauls Plusで利用していますが、LCMは利用できますか?
従来、OneClick Upgradeの場合、ハイパーバイザーやBIOS/BMCなど、ホストの再起動するアップデートについては、DRSが必要となるためEnterprise Plusが必須となっていました。LCMは、Ver 2.2.3以降のバージョンでDRSなしの環境であってもLCMの利用が正式にサポートとなりました。vSphere Standard/Essentials PlusなどDRSが利用できない環境でLCMを利用する場合、対象を1ホストずつに、アップデート行うホストから予め仮想マシンを他のホストに移動しておく必要があります。
Q.1ノードクラスターでLCMは、利用できますか?
LCMは、2ノード、もしくは3ノード以上の環境で利用が出来ます。1ノード環境では、LCMを利用することができません。これは、LCMは、アップデート対象ノードがPhoenix ISOをマウントしLinuxを起動後、LCM Leaderからアップデートバイナリを取得する動作を行うため、1ノード環境の場合バイナリを提供するノードが存在しないため利用不可となります。
この場合、各ハードウェアプラットフォームのサポートされる方法で個別でファームウェアのアップグレードを行う必要があります。
Q.LCMでアップデート出来るコンポーネントは何ですか?
LCMで、アップデート可能な物は、以下の通りです。
- AOS
- AHV
- BMC/BIOS
- HBA(SASコントローラー)
- M.2
- NIC
- HDD/SSD等記録メディア
- Nutanix Files
- Nutanix Objects
従来のハードウェアプラットフォームでは、ファームウェアアップデートとなると、コンパチリストの確認や停止時間の確認などで事前に入念の調査が必要となり、作業時間も長時間にわたることが多くあります。
LCMは、仮想マシンを停止することなく各種アップデートを進めてくれるだけではなく、仮稼動している環境に合わせて適宜推奨するファームウェアのアップデーを提示してくれます。LCMは、Nutanixを運用する際に非常に重要なツールとなりますので、是非、Nutanixをこれから導入する方は事前に一度動きを見ておくと良いと思います。
参考:KB7536