2017年5月27日土曜日

Windows Server 2008(32bit版)を仮想マシンとしてAHVにインストールする その2

さて、OSのインストールも無事におわり、なんだSCSIドライバーだけ入れればよいのかと思われた方も多いかと思います。
第一の壁は確かにそうなのですが、第2の壁があります...。
それは、NICドライバーです。

実際の画面を見ると、イーサネットコントローラーが見えていないことがわかります。

いつものように、Nutanixから提供されるVirtIOドライバーから、Windows Server 2008 R2フォルダは以下のx86を選択し、ドライバーをインストールしてみます。


ドライバーの検証でメッセージが表示されますが、インストールを継続します。

しかし、実際にはドライバーのインストールに失敗してしまいます。


そもそも、Windows Server 2008は、Windows Vistaベースで作成されており、VirtIO Driverで提供されているドライバーであるWindows Server 2008 R2 x86は、おそらくWindows 7の32bit版をベースに作成されているのだと思われます。
そのため、OSが提供されているドライバーよりも古いのでうまく動作しない可能性が高いと思われます。

仮想マシンでNICがないとなると、実際の話使い物にならないので、なんとかしてNICドライバーを用意しなければなりません。

ここで頼るのは、RedhatベースのVirtIOドライバーです。

Windows Virtio Drivers
https://fedoraproject.org/wiki/Windows_Virtio_Drivers

Fedoraプロジェクトから最新版のドライバーを取得します。

ダウンロードしたドライバーを、Image Serviceに登録します。


Image Serviceに登録後、Windows Server 2008に先ほどアップロードしたVirt IO Driverをマウントさせます。

マウント後、再度NICドライバーのインストールを行います。
参照先ですが、「NetKVM\2k8\x86」になります。

同じようにドライバーが未検証だといわれますが、インストールを継続します。


これで、めでたくNICドライバーのインストールが完了しました。


NICの名称にRedhatという名称がついていることがわかります。


あともう一つ不明なデバイスがあります。
こちらは、Baloon Driverをインストールすることで解消します。

VirtIOドライバーもFedoraから提供されたものを利用します。


また、同じようにドライバーの検証の確認が出ますが、継続してインストールを行います。


これで、baloonドライバーもインストールが完了です。
不明なデバイスもなくなりきれいな状態になりました。


さて、これでWindows Server 2008が利用できる状態になりましたが、残念ながらNutanix Guest Toolsはサポートしていないようでインストールができません。


そのため、静止点を確保したスナップショット取得などができない点は注意が必要です。



Windows Server 2008(32bit版)を仮想マシンとしてAHVにインストールする その1

vSphereを利用していると、旧来の資産であるレガシーなOSを容易に動作させることができ、過去のサーバーをそのまま稼働し続けているけているケースがよくあります。

AHVは、正式にサポートされているWindows OSは、2008 R2からとなり、Windows Server 2008は、サポート対象ではありません。
ただ、現行まだサポート期間のあるOSであることと、最後の32bit OSのサーバーであることから、一部ではまだ利用されている状況に遭遇します。

今日は、Nutanix的には非サポートですが、Windows Server 2008をインストールする方法を紹介したます。

今回稼働させる環境は以下の通りです。

AOS5.1.0.1
AHV20160925.3

まずは、Image ServiceにWindows Server 2008のISOイメージをアップロードします。


イメージをアップロードから、ISOをアップロードします。


Uploadするイメージの名称を作成し、ISOイメージを参照から選択し、保存をクリックします。


あとはアップロードが完了するまで待ちます。


同じ手順で、Nutanixから提供されるVirtIO DriverもImage Serviceにアップロードをしておきます。
VirtIO Driverは、Nutanix Supportポータルからダウンロードできます。


アップロード完了後、仮想マシンを作成します。
ここで、注意点は仮想ディスクをIDE/SATAではなく「SCSI」で作成します。

また、CDROMドライブには先ほどアップロードした、Windows Server 2008のISOイメージを選択します。


また、NICも忘れずに作成しておきましょう。
(Create NICからNICを追加できます)

仮想マシンの構成が終わったら、Saveをクリックし、仮想マシンを作成します。


仮想マシンをPowerOnすると、Windows 2008 Serverのインストーラーが起動します。

さっそくインストールを始めましょう。ウィザードに従って進めていきます。

セットアップを継続していきます。



カスタムでインストールを行います。

さてここで、仮想ディスクが見えず、インストール先がないことがわかります。
ここで、VirtIO Driverを読み込みます。

まずは、Prismから仮想マシンを選択し、「Update」をクリックしISOをWindows ServerのISOから、VirtIOドライバーに変更します。


続いて、VirtIO Driverをマウントします。


続けて、Saveで仮想マシンを保存します。

Windows Serverの仮想マシンコンソール画面に行き「ドライバーの参照」をクリックします。
続けて、参照から先ほどマウントしたVirtIO Driverからドライバを参照します。


CDROMドライブの「Windows Server 2008 R2」フォルダの配下に「x86」フォルダがありますので、それを選択します。(本来Windows Server 2008 R2にはx86版は存在しないのですが・・・)

すると、ドライバーが3つほど表示されます。
ここで「Nutanix VirtIO SCSI pass-through controller」を選択し、次へをクリックします。


ドライバーの読み込みを行います。

これで、HDDが見えるようになりました。

と、ここで次へをクリックしてはいけません。
Windows SrervrのISOに戻す必要がありますので、Prism画面に戻り、仮想マシンのUpdateから、ISOを再度変更します。

仮想マシンを保存後、コンソール画面に戻り、次へをクリックします。

そうすると、見事にWindows Serverのインストールが進み始めます。
これでめでたしめでたしといいたのですが、まだこれで終わりではありません。
OSインストール後の注意点は、次回の回にお伝えしたいと思います。









2017年4月9日日曜日

ストレージコンテナの機能を紹介

Nutanixにおける、仮想マシン記憶領域を「ストレージコンテナ」といいます。
ストレージコンテナは、vSphereにあたるデーターストアーに相当します。

ただし、NutanixはシンプロビジョニングなストレージであることとNFS(NFS3)を利用してvSphereからアクセスされます。ちなみに、AHVからはiSCSIで、HyperVの場合は、CIFS経由してストレージアクセスを行います。
(ハイパーバイザーごとにストレージにアクセスされるプロトコルが異なります)

さて、Nutanixには、RAIDの概念やLUNの概念がありません。
また、ボリュームごとのストレージコントローラーのメインサブなどのボリュームとストレージコントローラーの紐付けなどの設定もありません。

今回は、このストレージコンテナの設定を確認していきましょう。

ストレージコンテナは、PRISM画面から作成します。
Storage Containerをクリックし、ストレージコンテナを作成します。



作成方法は簡単です。
コンテナ名を入れ、ESXiの場合マウントするESXiホストを入力すればそれだけで終わりです。


vCenter Serverから見るとストレージがしっかりとマウントされていることがわかります。


しかし、シンプロビジョニングのストレージであることから、いくつストレージコンテナを作成してもすべてが同じ容量で見えてしまいます。
従来のSANストレージの場合、用途に応じてRAID5や10などのRAIDレベルの変更や、ボリューム上に容量を設定し、リミットを決めたり等のことをやっていたかと思います。こういった運用は、Nutanixになっても可能です。

コンテナ作成時に出てる画面で「Advanced Setting」をクリックするとオプション画面が表示されます。

(参考)設定画面の全容


ここでは様々な設定を行うことができます。実際の設定を1つずつ見ていきましょう。

REPLICATION FACTOR
データーの冗長度を設定します。デフォルトのRF2は、元データーとそのデーターのコピーを1つ持つ形となります。RF3は、元データーとそのコピーを2つ作成する方法です。
容量は、Nutanixが保有する全体のディスクストレージ容量の約半分に相当するのがRF2、約3分の1に容量に相当するのがRF3になります。
RF3は、Nutanixのノードが5ノード以上必要となります。


RESERVED CAPACITY
ニュータニックスは、シンプロビジョニングなストレージのためコンテナを複数作ってもみな同じ容量で見えます。ただ、使える容量は実際のストレージ容量とREPLICATION FACTORの設定で決まりますので、実容量以上の容量は絶対に使えません。
そのため、あらかじめこの容量だけは確保しておきたいといった場合、このRESERVERD CAPACITYで、あらかじめ設定したストレージコンテナに設定したサイズの容量を占有確保させることができます。RESERVED CAPACITYで設定した容量は、他のコンテナからはマイナスされた容量で空き容量が表示されます。
例)例えば、ストレージコンテナが3つあり、空き容量が5TBだとします。この環境下でもう一つストレージコンテナを作成し、その際にRESERVED CAPACITYに1TBを設定すると、この他のストレージコンテナの空き容量は、4TBの表示に変更されます。つまり新しく作成したコンテナに1TBが占有で確保されたことがわかります。

(参考)Advanced Settingを何も入れなかった場合

(参考)Advanced Settingで、RESERVED CAPACITY設定を入れた場合



ADVERTISED CAPACITY
こちらは、ハイパーバイザーに見せる容量の上限値になります。
上記の例で1TBをRESERVED CAPACITYで占有予約容量とし、1TBをADVERTISED CAPACITYにした場合、このコンテナの容量上限値は1TBとして見えます

(参考)Advanced Settingで、ADVERTISED CAPACITY設定を入れた場合


COMPRESSION
ストレージの圧縮設定を行います。
圧縮は、ポストプロセスによる定期的な圧縮を行うための時間設定(Delay)を行うことができます。パラメーターに0を入れると、インラインの圧縮になります。


DEDUPLICATION
重複排除を行います。まずCACHEにチェックを入れ、キャッシュ層の重複排除を行います。CAPACITYのチェックを入れると、実容量の保存するストレージ領域に対して、重複排除が行われます。CAPACITYチェックボックスはCACHEのチェックボックスをクリックしないと有効になりません。これは、キャッシュ層でデーターのフィンガープリントの作成を行うためです。
DEDUPLICATION昨日で、CAPACITYの重複排除機能を利用するためにには、NutanixのPROライセンスが必要となります。


ERASURE CODING
冗長化したデーターの一部をパリティにし、実際のストレージ容量に対して、保存できる容量を増やす事が可能となります。
イレージャーコーディング機能は、NutanixのPROライセンスが必要となります。

(参考)重複排除とイレイジャーコーディングの設定画面
※PROライセンスガ適用されていないので、警告画面が表示されています。


FILESYSTEM WHITELIST
Nutanixで作成したストレージコンテナはNFSですので、Nutanix以外のハイパーバイザーからもマウントすることが可能です。その際、マウントするハイパーバイザーホストのIPアドレスをこのホワイトリストにあらかじめ登録しておく必要があります。


Nutanixは、従来のSANストレージに比べて大幅に楽に設定ができる割に、細かな設定ができることがわかります。IaaSなどのクラウドサービスを提供し、顧客ごとにLUNを指定容量に切ってQuotaの代わりに利用為ていた場合においても、Nutanixであれば、契約するユーザーごとにADVATISE CAPACITY設定を入れるだけで完了です。

従来のSANストレージでは、

  1. RAIDグループを作成
  2. ボリュームグループを作成
  3. LUNを作成
  4. メインコントローラーのパスを設定
  5. WWNゾーニング、ホストアフィにニティを設定
  6. ハイパーバイザーからマウント
といった手順をNutanixは、1つの画面で1分程度で作業を行うことができてしまいます。

Nutanixのすごさは、ハイパーバイザーとストレージが一緒に提供されますが、このような設定におけるメリットと同時に、従来までの運用や考え方を変えずにそのまま利用できる点は、Nutanixならではの点だと思います。






2017年3月25日土曜日

Self Service Restore (SSR)の注意点

Nutanixのファイルベースのリストア機能、Self Service Restore(SSR)は大変便利な機能です。ただ、この機能を使う上で押さえておくべき点もありますので、今回は注意点をお伝えします。

その1
SSRを利用するためには、仮想マシンとNutanixの「CLUSTER VIRTUAL IP ADDRESS(Cluster VIP)」2074/TCPで通信ができる必要があります

これは、NGTの仕様にもかかわるところなのですが、仮想マシンにインストールされた
Self Service Restore GatewayがNutanix Cluster VIPにアクセスし情報を取得するため、仮想マシンとNutanixクラスターの管理IPのあいだで、2074/TCPの通信が行われます。
DMZに配置するサーバー等では一部セキュリティ上の課題が出てくるケースもありますので注意が必要です。

その2
SSRからマウントしたドライブ読み取り専用ではマウントされない

これは、実際にファイルのリストアをする際に、スナップショットをマウントしたドライブにもファイルの書き込みなどができてしまいます。もちろん、誤ってファイルを上書きしたり消したりしてしまっても、そのディスクをアンマウントして再度スナップショットをマウントすれば元に戻るのですが、現状のドライブとスナップショットをマウントしたドライブは基本同じマシンのディスクのため勘違いしやすいので、ファイルリストア作業時は注意が必要です。

その3
PRISM側で仮想マシンで「Enable Nutaix Guest Tools」と「Self Service Restore (SSR)」のチェックを有効にしておくこと

こちらは、NGTのメディアマウント機能とNGTやSSRを有効にするチェックボックスが同じ画面にあるため、NGTのインストール完了後、まとめてチェックを外してしまうケースがありますが、上記の2つのチェックを外すと、SSRが正常に起動しません。仮想マシンをクローンした場合も元の仮想マシンのNGTの状態は保持されませんので、クローン完了後、個別にNGTとSSRの機能を有効にする必要があります。

(参考)Manage Guest Toolsの設定

尚、Self Service Restore(SSR)が有効になっていない場合、SSRのポータル画面でログインすると「Error executing command: File Level Restore capability is not enabled」というメッセージが表示されます。

(参考)
その4
SSRポータルにドメインユーザーでログインする場合、「DOMAIN\Username」形式で入力する。ドメイン名、ユーザー名も大文字・小文字の判断が入ることに注意

これは"Self Service Restore (SSR)が便利 その3"の項でも紹介をしましたが、「Username@DOMAIN」という形式ではログインができません。
また、ドメイン名やユーザー名も大文字小文字を判断していますので、Active Directory側で入力された内容を正しく反映する必要があります。(例えば、ドメインのアドミニストレーターユーザーの場合「DOMAIN\Administrator」という表記になります。

その5
対応OSは、WindowsOSのみ

これは、表記のとおりです。Linuxはまだ対応していませんので、Sambaでファイルサーバー等を作成している場合は、注意が必要です。

その6
vSphere環境の場合は、仮想マシンオプションに「disk.enableUUID=TRUE」が付与されていること

こちらもご案内済みですが、スナップショットのディスクがマウントされますのでその際のトラブルをなくすためのパラメーターです。vSphere6であれば、基本Windows2008R2以上の仮想マシンを作成すると自動的にこのパラメーターは付与されると思います。


SSRが正しく動作しないと思ったら、まず上記の内容を確認してみましょう。




Nutanix Guest Toolsのメディアがマウントされない場合

Nutanix Guest Toolsは、Nutanix上で仮想マシンを動作させる場合、入れておいたほうが便利な機能が詰まったものです。
Nutanix Guest Toolsは、Nutanix上から、ISO Media Mountの機能を利用して仮想マシンの仮想CDROMドライブにマウントされます。

このメディアマウント機能ですが、仮想マシンの仮想CDROMドライブになにもメディアがマウントされていないにもかかわらず、「Guest Tools cannot be mounted as there not enough empty CD-ROM(s)」とメッセージが表示されメディアがマウントできないことがあります。

(参考)メディアマウント時のエラー

AOS5.0の場合、vSphereであっても、vCenter Serverとの登録を行っている場合、仮想マシンの構成を見ることができます。
ここで見ると、Disksの中にCDROMドライブが存在しないことがわかります。

(参考)仮想マシンのドライブを確認


ただ、仮想マシンにはCDROMドライブが搭載されていることがわかります。

(参考)仮想マシンから見たCDROMデバイス

さて、この現象に遭遇した際の対処法ですが、CDROMドライブがSATAで構成されているときにこの症状が出るようです。

vSphere Web Clientから仮想マシンを編集で開き、CDROMドライブの仮想デバイスノードを「SATA」から「IDE」に変更します。(仮想マシンはパワーオフしておく必要があります)

(参考)SATAからIDEへ変更する箇所

IDEに変更する際、チャネルを0:1や1:0など好きなチャネルに設定していただいてかまいません。(昔からながらで考えるとIDEディスクは、チャネル0:0で、CDROMドライブは1:0か1:1という時代もありましたが・・・)今回はIDEチャネルを0:1で設定します。

そのうえで、再度PRISMの仮想マシンメニューから、「Manage Guest Tools」をクリックし、「Mount Nutanix Guest Tools」のチェックをクリックしてもエラーメッセージが表示されません。

NutanixからISOをマウントする際に利用できる仮想CDROMドライブが、IDEでないとNGTはマウントできないということのようです。(AOS5.0.0.2にて確認)

もし、「Guest Tools cannot be mounted as there not enough empty CD-ROM(s)」
というメッセージに遭遇したら、他のメディアがマウントマウントされていないかの確認と、仮想CDROMドライブのバスがIDEになっているかを確認しましょう。