装置内のスナップショットだけではバックアップにならないと思われる方もいるかと思いますが、Nutanixはスナップショットのレプリケーションが出来ますので、バックアップとして利用することが出来ます。
このスナップショット取得機能には、WindowsのVSSと連携して静止点を取得する機能があります。今回はこのVSS連携についてお話をしたいと思います。
VSSはご存じの通りWindows Server 2003以降に搭載された、静止点を取得するための仕組みです。これをNutanixからコールすることにより、アプリケーションの書き込みなどを一時的に止めて静止点(データーの書き込み途中といった状況が存在しないようにする)を作りその間にスナップショットを取得します。
これにより、リストアした際にデーターが壊れていたといったことを防ぐことが出来ます。
vSphereとバックアップソフトウェアの場合、vShereのスナップショット機能を利用して、静止点を取得しますが、Nutanixはマルチハイパーバイザー対応機器ですので、特定のハイパーバイザーに依存せずこのVSS連携によるスナップショット取得が出来るように独自の実装がなされています。
まず、VSS連携を利用するためには、
- 仮想マシンにNutanix Guest Toolsをインストール
- Nutanix Cluster VIPと2074/TCPで通信可能であること
が条件となります。
また、ABSを利用して外部からiSCSIのボリュームをマウントした物理マシンに対するiSCSIボリュームの静止点取得は出来ません。(Nutanix上で動作している仮想マシンかVolume Serviceを利用してiSCSIマウントしたボリュームは静止点の取得が可能です)
では、早速このVSSキックまでの動きを見てみたいと思います。
今回はAHVの環境(AOS5.6.1)に、Windows Server 2016をインストールしその上でSQL Server 2017 Standardが稼働する環境を用意しました。
今回はAHVの環境(AOS5.6.1)に、Windows Server 2016をインストールしその上でSQL Server 2017 Standardが稼働する環境を用意しました。
1.VSSで静止点を取得したい仮想マシンにNGTをインストールします。
インストールの方法は簡単です。Prism画面からISOをマウントしてインストーラーに従います。少々古いですがインストール方法はこちらを参照してください。
インストールが終わったら、Windowsの仮想マシンにサービスが入ったことを確認します。(Self Service RestoreとGuest Tools Agentがインストールされている)
2.Nutanix Prism側で仮想マシンにVSSサービスを設定
Prismから、VSSを遊行したいか総マシンを選択し、Manage Guest Toolsをクリックします。
Enable Nutanix Guest Toolsと「Volume Snapshot Service / Application Consistent Snapshot(VSS)」にチェックを入れます。
これにより、VSS機能が利用できる状態となりました。
3.DataProtectionで、VSSキックを設定。
DataProtectionからいつものように仮想マシンを登録します。
仮想マシンを登録する際に「Use application consistent snapshot」にチェックを入れて「Protect Selected Entities」をクリックします。
この場合、仮想マシン名の後ろに「●」が表示されます。この●にマウスポインターを当てると、「The group targets application consistent snapshots.」と表示されます。
4.あとはスケジュールをまつだけ...
まつだけなのですが、実際に動作した場合に正しく動作しているかを確認してみましょう。
Nutanix側から7/1 10:39にスナップショット取得イベントを走らせました。
そのタイミングのイベントログを見ていると、Nutanix VSS Providerが呼ばれたことが記録されています。
10時39分31秒~44秒のあいだにVSSが動作したことがわかります。
PrismのDataProtection画面からスナップショットの時間を見てみると「10時39分44秒」であることがわかりますので、静止点を取得した後に、VSS Providerが停止したことがわかります。
では、SQL Serverのログも見てみましょう。
SQL Management Studioでログを見てみると、VSS経由でI/O処理が一時的に中断状態になったことが記録されています。
このログを見ると、10:39:42の時点で、I/Oの処理中断は解除され、バックアップに成功したと記録が出ています。これはこの時点での静止点取得が出来たことを表しています。
Nutanixのドキュメントには、VSSに対応しているという記載はSQL Server 2012までしか記載がありませんが、VSSの動作にきちんと対応していれば、基本問題なく動作することがこの事からもよくわかるかと思います。
VSS連携は、バックアップにおける基本機能ですが、このVSSを呼び静止点を取得できるバックアップ機能をNutanixは標準機能で装備しているので、別にバックアップソフトウェアを購入することもなくきちんとしたバックアップが出来るのは大きな魅力だと思います。
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