2017年6月3日土曜日

Xpress(SX)モデルの紹介

Nutanixには、小規模向けのモデルとしてXpressモデルがあります。
Xpressモデルは、Nutanixのアーキテクチャーはそのままに、一部の制約を入れることで、Nutanixをより手軽に使っていただける製品です。

まずは、モデルの概要から紹介します。

2U4ノードはそのままに、Nutanixのソフトウェアが、Xpress Editionといわれる、従来のNXシリーズと異なるソフトウェアが提供されます。また、保守が24時間365日オンサイト保守である「Mission Critical」保守が提供されず、Productionサポート(平日サポート)とXpress SupportといわれるXpressモデル専用の保守が提供されます。ただし、Xpressサポートは日本では提供されず、Productionサポートのみが提供されることとなります。

保守についても一応確認しておきましょう

CategoryXpress ※2ProductionMission Critical
サポート受付時間7x24 ※17x24 ※17x24
パーツ交換時間
(故障箇所特定後)
翌営業日翌営業日4時間以内
レスポンスタイム4時間以内2時間以内1時間以内
連絡対応者制限
(情シス担当者から連絡を
受ける際の担当者の制限)
4人無制限無制限
部品交換時の作業顧客交換保守に付随保守に付随
電話サポート可能可能可能
※1 ただし、Xpress/Productionのサポート受付は、夜間・祝日・休日などの営業時間外は英語での対応
※2 Xpressサポートは、日本では提供されていません。

SXには、購入できる企業に制限があります。
●500人以下の従業員規模の会社であること
●年間売上高110億円($100M)未満であること($1=110円と計算)

そのほかに以下のような制限があります。
●1社2クラスターまで(1クラスター4ノードで2ブロックまで)
●HDDとSSDのハイブリッドモデルのみの提供
 (AllFlashモデルは未提供)

1つめの1クラスター4ノードというのは、Nutanixのメリットである無限に拡張できるという良さがなくなっている感はありますが、中小規模の顧客の場合、集約率が高いNutanixの場合、4ノードもあれば十分なケースも多々あります。
2クラスターまでと言うのは、例えば本社にメインクラスターを置き、支社にもう1台Nutanixを置いて、DRを行う場合などに利用できます。

機能的な制約としては以下の点が上げられます。
×複数サイトのDR構成不可(1対1は可能)
×SXモデルとNXモデルの混在クラスター(ヘトロジニアスクラスター)
×5台以上のノード構成でのクラスター
×RF3
×ブロックアウェアネス
×イレイジャーコーディング
×PRISM PRO

1クラスター4ノードまでですので、ブロックアウェアネスのように最大3シャーシ(ブロック)が必要な機能は利用不可ですね。またRF3も5ノード以上が必要になるので利用できません。


逆に利用できる機能は
圧縮・重複排除
複数世代のストレージスナップショット
AWS/Azuereへのネイティブバックアップ
マルチハイパーバイザー(AHV/ESXi/Hyper-V)
メトロ アベイラビリティ
シングルサイトDR

とくにクラウドバックアップなどは、中小企業では欲しい機能ですが、Xpressモデルであれば、最初から利用することができます。(通常のNXモデルでは、PROライセンス以上が必要となります)
このあたりは、Xpressモデルのお得感が出ています。

もちろんXpressモデルのスペックは、自由の構成することができます。
CPUやメモリー、SSD/HDDも自由にカスタマイズすることができますので、自社にあった基盤を手に入れることが可能です。

このXpressモデルは、SMB市場に向けたもので、ROBO用ではないというのがポイントです。SMBというのは、Small Business / Medium Businessの略で中小企業のことを指します。一方、ROBOは、Remote Office /Branch Officeの略で、本社に対しての拠点(支店)という扱いになります。
このSXモデルは、購入できる企業の売り上げ規模に制限がありますが、これは、大企業の支店に設置するモデルではなく、明確に中小企業で利用されることを目的とした製品だからです。







Nutanixにかんするウワサを検証その1

Nutanixは、ハイパーコンバージドの先駆けですが、Nutanixに関する様々ウワサを耳にすることがあります。
そのウワサが本当がそれとも間違いなのかを見ていきましょう。


ウワサ1
Nutanixは、2U4ノードの4台ずつのセットでしか買えない。4の倍数になってしまうので、無駄な投資が発生する。

真相
ウソ

これはあるある勘違いですね。Nutanix純正モデルは、2U4ノードのモデルであっても、1ノードずつ購入することができます。ブレードサーバーのようにシャーシを購入し、そこの1ノードずつ足していくことができます。では、5ノードめを購入する場合はというと、シャーシに1ノードだけ搭載されたものを購入できるので、不要なノード分までを購入する必要はありません。まさに、クラウドのようなPay as you goの形で必要なリソース分だけを手配(投資)する形になります。
また、1U1ノードや2U1ノードのモデルもありますので、2U4ノードにこだわらず、環境にあったモデルを選択することができます。DELLやLenovoのOEMモデルでの2U4ノードモデルでは、4ノードセットでないと手配できないモデルがありますので、こちらは注意が必要です。


ウワサ2
Nutanixは、200Vが必須なので、古い建物などでは200Vが引けないので利用することができない。また電源が非冗長なので、PSUが壊れたら、全ノードが落ちる。

真相
ウソ

これも、明確なウソですね。Nutanixは100Vで運用可能です。
ただし100V電源で2U4ノードのモデルを利用した場合、4ノードのサーバーをすべてパワーオンすると、PSU(パワーサプライユニットつまり電源)の供給能力的に非冗長な状態となり、どちらかのPSUが故障するとノードの電源供給が滞る可能性があります。200Vの場合は1つのPSUで4ノードの電源をカバーできますので、4ノードをすべて電源を投入しても電源が非冗長になることはありません。
では、100Vにおいて電源非冗長にしない構成はできるのでしょうか。
これには2つの手法があります。
1つめは、2U4ノードモデルの場合、1シャーシに2ノードを搭載し、シャーシを分けることで、100V電源でも電源冗長化された状態で運用することができます。
2つめは、NX-3175-G5などの1U1ノードモデル、NX6035-G5などの2U2ノードモデルを採用すると、100V電源でも冗長化された状態で運用可能です。
ただ、古い建物であっても200Vの電源を引くことはそんなに難しいことではありません。ビルの管理会社または電気工事会社に相談をすれば、簡単に工事してもらえるケースがほとんどです。


ウワサ3
1度Nutanixを買うと、ノード拡張が簡単にできるといっているが、同一モデルの同一スペックを買わないといけないが、intelのCPUで新しいモデルが出ると、旧モデルは、製造終了されるので事実上、数年たった後のノード追加は不可能。

真相
ウソ

これも、間違いです。まず、Nutanixの良さは、異機種混合が可能というところです。
例えば、NX-1065-G4の4ノードモデルを購入後、2年後にノード追加の必要が出た場合、NX-1065-G5を1ノード購入し、既存のNutanixクラスターに追加することができます。
ノード追加ができないケースとしては、2015年にNX-1065-G4を3ノード購入し、2年後に1065-G4の追加ノードとして、1065-G4を1ノードだけ手配しようとしても、1065-G4モデルは製造終了しているため、この場合は、1065-G5のシャーシと1065G5のノードを1ノードだけ手配する必要があります。
ブレードサーバーと違い、シャーシは、モデルと世代ごとに変わるため、1シャーシの中に異機種混合はできないということになります。
同一モデルであれば、シャーシ内でスペックを違うノードをシャーシ入れることは可能です。1ノードはメモリーが256GBで、あとノードは512GBで構成ということも可能です。


ウワサ4
Nutanixは、3ノードからしか購入できないので、小規模環境には不向きだ。他社のHCI製品は2ノードからスタートできるのでそちらの方が小規模に適している。

真相
ウソ

Nutanixは、3ノードからのスタートであることには違いがありません。
これは、分散型ストレージである以上、多数決の原理によりクラスターの状態を把握するためです。では、他社のHCIはどうかというと、2ノードで構成できる製品の場合、クォーラム用ノードやWitnessノードなど、HCIの筐体と別に監視用のサーバーが必要なケースがありますので、結果3台のサーバーが必要になってしまうことがあります。(分散ストレージである以上、スプリッドブレインになった際には、多数決がとれることが必要になるからです)こうなると結果3ノードになってしまいます。管理サーバーとして1台のサーバーを用意するよりも3台のリソースを活用する方が、有効的だと思います。
また、Nutanixには、小規模向けとしてXpressモデル(SXシリーズ)が提供されています。こちらは、購入には条件がありますが、条件を満たせれば非常に安価に購入できます。Nutanixは、小規模のには向かないというのは間違いです。

小規模向けお買い得モデルの青い筐体、Xpress(SX)


ウワサ5
Nutanix上でVMware vSphere(ESXi)を利用する場合、ストレージ機能はvSANを利用している。

真相
ウソ

これは真っ赤なウソですね。正直どこからこういう話しになったのかがわからないぐらい不思議なのですが...。
Nutanixは、Nutanixが開発したファイルシステムやストレージアーキテクチャーを、vSphere(ESXi)、Hyper-V、AHV、Xen Serverで提供しています。ハイパーバイザーごとにストレージ機能のアーキテクチャーが変わることはありません。


さて、今回は5つのウワサを検証してみました。
どれもウソという結果になりましたが、Nutanixに関するホントのウワサも募集していますので、え、ホント?と思うようなNutanixの噂を聞いたら是非教えてください。