NutanixをVDIなどで利用する場合、特にリンククローンで構成されたVDIなどは、ユーザーの作成したデーター(マイドキュメント)やブラウザーのお気に入りなど、ユーザー個別の情報であるユーザープロファイルを、VDI(仮想デスクトップ仮想マシン)と別の場所に保存する必要があります。
従来は、その対応方法として2つの手法がありました。
- Nutanix上に仮想マシンを作成しその仮想マシンをファイルサーバーとして構築する。
- 別にファイルサーバー専用のNASを用意する
(参考)AFSが誕生する前までのファイルサーバーの取り扱い
しかし、この場合、前者の場合は、VDIのユーザー増加やユーザー自身のファイル量増加に伴う、容量拡張が容易にできません。後者の場合、Nutanixだけで完結することができないため、シンプルではなくなってしまいます。このような状況を改善するために誕生したのが、AFSなのです。
AFSは、Nutanixクラスターで構成されたNDFS(Nutanixのストレージ領域)の一部をそのままファイルサーバーにしてしまおうというものです。
AFSを利用するためには、まずNutanixのUltimateライセンスか、AFS専用のライセンスが必要になります。既存のNutanixクラスターのライセンスを事前に確認しておきましょう。
また、AFSを利用するためには、2つの事前準備が必要です。
- ABSの事前設定(仮想IPの付与)
- AFSバイナリ(FSVM)の準備
- Active Directoryが存在していること
3番目ですが、AFSを利用するためには、ADが必須となります。
サポートされているドメインレベルは以下の通りです。
- Windows Server 2008 (AFS 2.0.2および2.1のみ)
- Windows Server 2008 R2
- Windows Server 2012
- Windows Server 2012 R2
- Windows Server 2016
AFSの機能を提供するFSVMは、仮想アプリライアンスとなります。
仮想アプライアンスのスペックは、以下のような指標が出されています。
接続数 | FSVMのメモリ(1台あたり) |
250 | 12GB RAM |
500 | 16GB RAM |
1,000 | 24GB RAM |
2,000 | 40GB RAM |
2,500 | 60GB RAM |
4,000 | 96GB RAM |
FSVMは、1つではなく複数個設置するのですが、その最大数は、CVMの数もしくは、最大16台のどちらか最小のを値を選択することになります。
たとえば、1つのNutanixクラスターのノードが18台ある場合は、CVMは18台ありますが、FSVMの最大数は16のため16台のFSVMを立てる仕様となります。
また、違う例では、Nutanixクラスターのノードが4台の場合、CVMは4台となり、FSVMの16台よりもCVMの台数が少ないことになりますので、FSVMも4台展開することとなります。
Nutanixは、最小3ノードで動作しますので、FSVMの最小設置台数は3台ということになります。
つまり最小である3ノードのNutanixクラスターにAFSを展開した場合、最小構成であっても750クライアントの接続がサポートされることになります。
FSVMに割与える、vCPUですが、最大12vCPUという指標はありますが、どのくらいの規模にどれぐらいのvCPU数というのは特に記載がありません。
ウィザード上では、4,6,8,12とvCPU数が選べるようになっておりますので、全体のリソースのバランスを見て適切なvCPU数を選択することとなります。デプロイ後にvCPUの数やメモリー容量を変更することも可能ですので、最小限度のリソースから初めて後から拡張していくことは可能です。
その他の条件も一緒に見ていきましょう。
内容 | 制限値 |
Home共有毎のデーターサイズ | FSVMあたり200TB |
汎用共有フォルダ毎のデーターサイズ | 40TB |
AFSの名称 | 15文字 |
共有名の最大文字数 | 80文字 |
スロットル帯域幅 | 2048Mbps |
データー保護帯域幅 | 2058Mbps |
Asyn DRの最大復旧目標時間 | 60分 |
保持できるスナップショット数 | 24 |
対応ハイパーバイザー | vSphere(ESXi) / AHV |
容量制限や、共有フォルダの名称について文字制限があることに注意が必要です。
そのほか、以下のような仕様が記載されています。
- ファイルサーバーの容量が100%になると、ファイルサーバー機能は読み取り専用となります。
- 全体の使用量が90%を越えるとアラートが表示されます。
- RODCへの参加は許可されていません。
一方、AFSに接続がサポートされているクライアントは以下の通りです。
AFSがサポートしているSMBのプロトコルは、AFS2.2でしたが、AFS2.2からSMB3.0がサポートされました。ただし、以下の機能が未サポートです。
- 継続的な可用性/トランスペアレントフェールオーバー
- マルチチャネル
- 暗号化
ただしこちらは、Windows Server用のKaspersky Security 10のみサポートとなっています。
では、次の回から具体的にAFSの実装に入っていきたましょう。
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